2006年秋 ロッジ・タサン・ビレッジへの旅 《メモ》

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四方を雄大なヒマラヤの峰々に囲まれた神の土地に誕生した絶景の山上ロッジ「ロッジ・タサン・ビレッジ」。2006年秋、念願の竣工式に立ち会うため、設計に関わった著者と学友たちはネパールの旅へ。オールカラーの画文集。

 ネパールでのホテル設計は、三井不動産にヒマラヤ観光の宮原巍さんがこの仕事を持ち込んだことに始まる。1975年頃、そこに私も関わり、右も左も分からないでカトマンズにやってきて、基本設計が始まった。
 その頃のカトマンズは遠征隊という高峰を目指す登山隊、少数のトレッカー、町の寺院周辺にはヒッピーが多く、一般のツーリストはまだ少なく、海外からの裕福な旅行客はさらに少なく、満足できるホテルも少なかった。
 ネパールサイドの方が、まず分厚い数冊の本「タントラ」をデスクに置いた。今でも存在するエロチックテンプルと称されている寺院の、屋根を支える頬杖には、タントラに出ている、男女咬合の浮き彫りがあり、性と宗教の関わりとに異国に来ても関わりがあるということが面白かった。それは、大学を卒業した頃、自分のルーツに興味を持ち、信州を彷徨い、諏訪湖の近くで、胡桃澤神社とあるのを見つけ、小さな社に数本の石棒 (男根) を見つけたとき以来の、心のときめきであった。それ以後、僕は伝承と地域とは固い結びつきがあると信じている。
 建築デザインという分野では、斬新なものを求める傾向があるなか、僕は敢えて伝統を守った。特に、ネパールでは、伝統的なデザインと自然の素材を使い、新しいものを避けて仕事を進めた。構造や設備には現代的なデザインを、伝統に則して使った。最初のホテルの名称は三井が絡んでいたので、ホテルヒマラヤとなり、アルジュンが企画したこのホテルは LTV(ロッジ・タサン・ビレッジ)と名付けられた。最初、眼前に聳えるダウラギリの名をつけていたが、建築主であるアルジュン夫人の提案で、タクサッサエ (塩を扱う人々) というタカリー族の言葉からロッジ・タサン・ビレッジとなった。
その竣工式に立ち会うこととなった学友と近隣のお歴々との、旅の記録である。 (本文より)
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