STEAMは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering) そして数学(Mathematics)の頭文字を取ったSTEMに、芸術(Arts)を加えた頭字語として知られています。
STEAM教育は芸術を加えることで科学・技術をより創造的に発展させる学際的な教育として、また21世紀を生きる市民に必要な資質能力を育成する教育として、世界中で大きなムーブメントになりつつあります。
しかし、日本におけるSTEAMの解釈には、曖昧さや不正確さ、混乱や理解の偏りが目立ちます。
例えば、アメリカ教育省はSTEAMのAが芸術5教科であることを明言しており、アーツ・インテグレーションがSTEAMの源流であるとして、芸術の視点からSTEAMを捉えていることをご存知でしょうか?「STEMに芸術を加える」とSTEAM議員団の努力によって連邦教育法の条文が修正されたことなど、基本的なことが周知されていない中、日本では芸術抜きのSTEAMが中教審で紹介されたり、STEAMのAの範囲を広く捉えるなど、オルタナティブな理念に傾きつつあるのが現状です。
本書では、芸術を基盤にして科学・技術を結びつけることで、直面する問題の解決や新しく革新的な仕事の機会が提供され、相互の分野の進歩を促進することがSTEAM本来の理念であることを伝えます。
本書はプロローグとエピローグで挟んだ3部構成になっています。プロローグではSTEAMについてのアメリカでの公的な見解を紹介し、エピローグでは日本での議論を紹介し対比しています。
第一部はSTEAMの始まりについてです。STEAMの黎明期に重要な意味を持つ三人の人物、マーク・サンダース、ジョーゼット・ヤックマン、そしてジョン・マエダに焦点を当て、彼らのSTEAMについての考え方を紹介します。
第二部はSTEAMの背景についてです。アメリカでなぜSTEAM教育が生まれたのか、その源であるアーツ・インテグレーションや、科学と芸術の相互作用的な関係について紹介します。
第三部はアメリカのSTEAM教育の現状についてです。連邦政府や州政府によるSTEAMの法制化と、その背後にあったRISDの功績を紹介します。