世界の人口は年間600万人規模で増え続け、その多くが新しい消費者となってエネルギーや資源の需要を急激に押し上げ、環境に大きな負荷を与えています。問題なのは環境破壊が加速的に進み、私たちが健全に生きていける猶予があまりないことです。もはや、これまでのサステナビリティが目指していた「壊れたものを元に戻す」という消極的な姿勢では追いつかなくなり、今、サステナビリティは新しい時代を迎えました。
これからは単なる維持ではなく、「壊れたものをより良く修復・再生してゆく」ことに重点がシフトしています。この概念はSDGs(持続可能な開発目標)が掲げる「誰も取り残さない」未来の実現とも深く共鳴するものです。修復・再生とは、人と企業とコミュニティが関係を結び直し、新しい生命のネットワークを築くことにほかなりません。
具体的には、廃棄物に新しい価値を加えて生まれ変わらせるアップサイクルのような、従来の消費構造を根本から見直す循環型経済(サーキュラーエコノミー)への転換が急務となっています。また、伝統的な農法や文化を守りつつ生物多様性を維持する世界農業遺産の知恵は、自然と共生しながら資源を次世代へ繋ぐための大きなヒントを与えてくれます。
私たちが手にする製品が、どこで誰の手によって、環境に配慮して作られたのか。そうした背景を重視するエシカルな消費選択は、一人ひとりが未来へバトンを繋ぐための第一歩となります。過去から受け取った命のバトンを、より良い形にして未来へ渡すこと。今、日本を含め世界中に、より良い未来へ向けて活動している人々や企業がたくさんあります。
この人と企業とコミュニティのサステナビリティ・ビジネスこそが、これからの未来を創造してゆく原動力です。彼らの取り組みを紹介することで、サステナブルな未来へ踏み出すための小さな羅針盤になることが、本書の主旨です。