人々が様々な困難と直面した時代でもあり、幾多の名馬が駆け抜けた時代でもあったコロナ禍の日本。そこを舞台に奮闘する競馬フォトグラファーの物語を多数の美麗な挿絵と共に描いたPhotostud初の小説作品。
本書は前作「Retrospect 2014-2019」の続編にあたりますが、内容は一新されて似て非なるものになっています。前作が競馬場で撮影した写真とデザインとコピーを組み合わせてビジュアル重視で競馬のシーンを振り返る内容だったのに対して今作は主に三つの要素によって構成されています。一つ目はコロナ禍における日本と競馬の状況を伝えるもの。二つ目は既存の「Retrospect」シリーズを踏襲した形でヴィジュアルを重視して日本の競馬を報道的に伝えるもの。三つ目はそのヴィジュアルのページを小説の挿絵として機能させて、コロナ禍の日本で奮闘する競馬フォトグラファーの物語を描いたもの。本作ではそれらが絡み合い、この困難な時代の様相と収束への願いを未来へ伝えていくことが一つのテーマになっています。
全252ページの内、168ページ相当がカラーページでそのほとんどが2020年から2021年に行われたG1レースをモチーフにした作品となっていて、残りの84ページ相当が小説パートとなります。(文字数はトータルで10万字弱です。)
新型コロナウイルス感染症対策により、競馬のフリーランスカメラマンの撮影取材は著しく制限され、これを本業とする人達は瀕死の状態です。競馬を中心としたフリーランスフォトグラファー&デザインユニット「Photostud」も例外ではなく、既存の「Retrospect」シリーズの続編制作も困難になりました。しかし、「Photostud」はこの逆境をむしろチャンスに変えるべく、全く新しい「Retrospect」を誕生させました。完成までの道のりは長く険しいものでしたが、今までの競馬関連の書籍では類を見ないようなものが出来上がったと自負しております。