阪神大震災の記憶
阪神淡路大震災から、すでに30年の歳月が過ぎようとしています。
神戸の街は、震災の傷跡をとどめぬままに復興そして発展しあまりにも早い時間の流れ
を感じますが、いまでもあの時の情景のひとつひとつが鮮明に私のこころに浮かんでき
ます。
電気もガスも水道も止まり街が街としての機能を失い、人々は食べるものも飲むものも
なく、トイレさえ使用できなくなりました。そして全てを失い失意のどん底にいた人た
ちは、瓦礫と化した街の中で泣き叫ぶこともなく信じられないほど静かにそこにたたず
んでいたのです。崩壊した家々も、傷つき不安定な状態のままでまるで時間が止まって
しまったかのようでした。
まだ余震が頻繁に起き、非常に危険な状態の中で街全体が静寂に感じられたのが不思議
でなりませんでした。
夜になると冷たい六甲おろしが街を覆い気温が氷点下まで下がりました。
寒さと空腹で眠れぬ体を寝袋に包み、深く澄みきった寒風の夜空を眺めていると、いく
つもの流れ星が光っては消えていきました。そして私は知らないうちに漏らしていた自
分の嗚咽に気づきました。