わたしは他者、他者はわたし!
わたしは社会と呼応して生きている!
ここに、なぜ現代人は複数の「自分」を持つのかの答えがある。「自分とは何か」という根本的な問いに社会的側面から答える理由がある。
本書では8名の「自分史」分析を読みながら、「自分とは何か」を考えていく。中では、個人の自我の約7割が社会的特性で構成されることが確かめられている。また、理論的にはミードの社会的自我論が再解釈され、客我・主我論を超える「第三の自我=他我」が提示されている。自我形成は、家族・教育・地域文化などの重層的な社会的影響により、一者関係→二者関係→三者関係として段階的に発展する動的プロセスであることが明らかにされている。
客我・主我・他我の三層構造として、自我が複数の社会的作用源から重層的・動的に形成される「ソーシャル・セルフ(社会関係自我)」モデルが構築されている。これにより、自我の複数性・複合性が自我の社会性に原因のあることが明らかにされている。
本書の核心的貢献は、ミードの社会的自我論を再解釈し、客我・主我に加えて「第三の自我=他我」を提示した点にある。他我とは、対話を通じて他者の内面を直接理解し、社会全体の態度を内面化する能力を指す。
従来のソーシャル・キャピタル理論が外的関係性に焦点を当てていたのに対し、「内的ソーシャル・キャピタル」としての他我概念を提示。哲学上の「他我問題」への独自アプローチとして位置づけられ、自我の三層構造による重層的かつ複合的な形成プロセスを理論化した。
他者との関係性を考えることから、自分の人生を見つめ直すことができる。自分史を書こうとしている人、「自分とは何か」について考えたい人、自分がどのようにして社会との関係を結んできたのかについて知りたいと考えている人に勧める。