新時代の電力システム そのグランドデザインを考える

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商品説明
 エネルギーシステム、中でも電力システムは我々の社会を支える上で多面的な役割を担っているが、その役割は時代の流れとともに変化し、それが支える国や人々の在り方にも強く影響される。言い換えれば電力システムの果たすべき役割は時代がどのように変化しつつあるかに依り、この地球上の何処に位置するかによって大きく変わる。
 1970 ~ 1980 年代の日本の高度成長時代、我々が日本の電力システムの発展のために取り組んできた課題と、今日解決しなければならない問題がいかに異なるかは、敢えて事例を掲げるまでもないであろう。今日、国を挙げて取り組んでいる環境問題然り、資源問題然り、電力自由化然りである。我々の電力システムはこの様な変化に対応して進化してきたし、これからも進化し続けるであろう。
 グローバルな政治情勢の変化により発電用燃料の量的確保が困難になり、その価格が極めて不安定になった。自然災害発生の頻度やその規模が大きくなる傾向も年々顕著になりつつある。そのような周囲状況の変化の中で電源や電力流通設備への設備投資、維持投資意欲が減退して電力供給を不安定化している。国内的にも国際的にも迫りくる脱炭素対応は、電力事業の将来に向けての投資意思決定を困難にしている。
 我々人間社会は電気以外にも交通、水、情報、等様々な社会インフラに支えられているが、電力システムは他の社会インフラに見られない、電力システム特有の稀有の特性を持っている。それは通常世の中に存在するものは一般に品質の良いものは品質の悪いものより値段が高いしそれを作り出すにもより大きな費用を必要とするが、電気エネルギーの場合 品質を良くすればする程経済性もよくなるという特質を持っていることである。電力システムに特有のこのすぐれた資質は電力系統の連系(interconnection)という技術によってもたらされるのであるが、この技術は一方で小さな事故が周りに波及して健全な部分の機能まで損じ、最悪の場合、次々健全な部分までその機能を奪ってしまうという危険性を秘めているのである。(「はしがき」より)
目次
はしがき  ………… 関根泰次
第1 章 電力システムの誕生から1世紀半  ………… 松田道男
1.1 電力システムのルーツを求めて
 1.1.1 電気事業の「公益」概念の起源
     column エジソンの直流配電システム設計の工夫
 1.1.2 電気事業の「公益性」の確立
 1.1.3  「公益電気事業」の社会制度化
1.2 「電力システム改革」はどう進められたか
 1.2.1 新自由主義と「9 電力体制」の解体
 1.2.2 発電分野の自由化:第1 次自由化(1995 年)
 1.2.3 小売の部分自由化:第2 次自由化(2000 年)
 1.2.4 米国における「自由化の失敗」の事例頻発
 1.2.5 「日本型自由化」の完成:第3 次自由化(2003 年)
 1.2.6 「小売全面自由化」先送り:第4 次自由化(2008 年)
 1.2.7 「電力システム改革」:新たな課題の始まり(2015年-2020年)
1.3 「電力システム改革」のいま
 1.3.1 カサッザの「電力システム6 層構造論」
 1.3.2 物理的ネットワークの3 つの制限条件
 1.3.3 「電力自由化」後の問題点
 1.3.4 物理的ネットワークの課題
 1.3.5 情報・通信・制御ネットワークの課題
 1.3.6 燃料・エネルギーネットワークの課題
 1.3.7 事業ネットワークの課題
 1.3.8 マネーネットワークの課題
 1.3.9 規制ネットワークの課題
1.4 「電力システム」のこれから
 1.4.1 供給責任の「覚悟」
 1.4.2 新たな「環境責任」
 1.4.3 低廉な(affordable)電気料金の維持
第2 章 電力系統は芸術作品である  ………… 鈴木 浩
2.1 異なる絵画を描くように電力系統は異なる
 2.1.1 電力系統工学の体系
2.2 電力系統の計画と運用
 2.2.1 電力系統の計画と運用
 2.2.2 具体的な電力系統の構成
2.3 グリーンフィールドでの電力系統デザインの試み
第3 章 電力系統が崩壊するとき  ………… 鈴木 浩
3.1 電力系統の連系と電力系統の崩壊
 3.1.1 関西電力での御母衣(ミボロ)事故による大規模停電
 3.1.2 首都圏大規模停電
     column「 ブラックアウト」の意味するところ
3.2 北海道電力の全系崩壊から何を学ぶか
     column 80 年代のデジタルリレー
3.3 自然災害と軍事的脅威への備え
 3.3.1 自然災害への備え
 3.3.2 軍事的脅威への備え
第4 章 電力システムは人と組織で動く   ………… 大来雄二
4.1 「学窓から」から
4.2 ジャック・カサッザから
4.3 今日的課題1:技術者の社会的責任
 事例:超高圧送電線の電磁界と小児がん
 事例:パワーエレクトロニクスと電力系統の関係
 事例:リニア中央新幹線
4.4 今日的課題2:科学者・経営者・技術者が育つ環境
 福知山線脱線事故
 東京電力の広域停電
 北海道の全域停電
4.5 今日的課題3:組織の不祥事と社会の腐敗度
第5 章 新時代の電力システムを考える  ………… 鈴木 浩
5.1 Utility3.0 を超えて実現を図る
 5.1.1 電力システムをUtility と捉えたときの3レベル
 5.1.2 三つのレベルの変遷
 5.1.3 Utility3.0 が対象とする5つのD
 5.1.4 新時代電力システムに求められる要素
 5.1.5 Utility3.0 を超えて
5.2 電力システムのグランドデザインにむけて
 5.2.1 強靭なシステムとは
 5.2.2 スマートなシステムとは
5.3 電力システムの進化に向けて
謝辞 あとがきに代えて ―剣山の時代―  ………… 関根泰次
索  引
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