注意! 『資本論』の現行版の翻訳と解説である『透明な世界へ 第2部』は、初版を扱っている『第1部』の読者を前提に解説を行なっています。よって、『第2部』のみの購入はお控えください!
マルクスの『資本論』で、一番難解な部分である、始めの商品章の価値形態論には3つのバージョンがあり、初版本文と、その初版につけられた付録と、この『第2部』で翻訳・解説した現行版(第四版)があります。それぞれの価値形態論は、一部を除いて、力点や説明の仕方が異なっています。初版本文の価値形態論にこそ、生産物が商品として成立し、物神性をもたらす詳細な原因が述べられており、その重要性を訴え続けてきたのが、榎原均(えばらひとし)氏だった、ということは『第1部』で述べた通りで、今回も同趣旨のもとに執筆しました。
『第2部』は現行版を扱っていますが、『第1部』を読んで、商品の奇怪さや、資本主義の理不尽さを十分に学んだ人にとって、現行版は、『第1部』で扱った初版本文と比較すると理解しづらいということが確認できれば良いでしょう。つまり、今まで、自分が正確な価値論の理解、ひいては、価値形態論の理解が難しかったのは、資本論の初版を読む機会がなく、榎原均氏の言説が広まる機会も少なかったからでもある、と納得していただければ十分だとも言えます。
しかし、現行版では、マルクスが価値と交換価値の区別を明確にしていたり、物神性そのもののあり様が初版よりも詳細に記述されているなど、改良されている点があるのも事実です。ゆえに現行版を読む価値は十分にあります。
初版と同内容の部分は、一部の解説を『第1部』に委ねました。結果、『第1部』よりも解説が少なくなったのを幸いとして、『第1部』とは異なった内容を用意しました。
1つは、『『資本論』も読む』という、演劇作家の宮沢章夫さんの本を扱ったことです。この本は、素人が『資本論』に立ち向かい、やられてしまうさまをコミカルに描いているものですが、素人が故に、生半可な知識をもった人より、正確な理解をしておられます。素人だからこそ、驚きに満ち、真理を掴むということも多いものです。『資本論』はこうやって読むべきだという手本として扱っています。
もう1つは、巻末に、難解とされる榎原均氏の、特に理解しておきたい物神性論を、彼の著作全てから私なりに整理した『榎原均氏の「物神性論」の基本的枠組み』という論文を掲載したことです。この内容に関して榎原さんの論説を整理したものは今まで無かったはずです。私がこれまでノートに書いたり、パソコンに打ち込んできたものを整理し、書き直したものです。これを先に読み、『第2部』および『第1部』を読んでいただいただければ、価値論もより理解しやすくなるでしょう。
また最後に、数頁ですが、あるべき透明な世界像と、私のマルクス研究歴を掲載しています。
我々が生活している資本主義の社会は、矛盾に満ち溢れ、温暖化に伴う災害が日々頻発し、多くの身体・精神疾患者を生み出しています。このような「変な」世界から、『透明な世界へ』向かう準備を共にしましょう!