辺境から

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商品説明
石牟礼道子の世界

 『苦海浄土』が第1回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したのは一九七〇年である(石牟礼は受賞辞退)。公害が露出した時代だったゆえに、水俣病を素材にした『苦海浄土』は「衝撃的な公害告発の書」と受けとめられた。
 しかし作品の衝撃性はむしろ、神々と自然と人とが交歓し調和する近代が失った世界を現出した点にあった。水俣病は、そういった世界に対する近代の暴力の総体として出現したのである。自らがそのような世界に生の根拠を持ち、そこから絹糸をつむぐように言葉をつむぎ出す石牟礼道子の世界を読む。

島尾敏雄宿命の島・奄美

昭和19年秋、九大在学中の島尾は志願して学徒出陣し、奄美の小島に着任した。それが島尾と奄美との宿命的な出会いであった。任務は、ベニヤ製のボートに爆薬を積んで敵艦に体当たりする特攻である。その、死を目前にした日々の中で島尾は島の娘と激しい恋におちる。二人は戦後結婚するが、島尾の不貞によって妻は精神を病み、奄美に回帰した。
 そして20年。島尾はそこで「死の棘」をはじめとする数々の名作を生み、一方で、琉球弧から日本列島を逆照射する優れた文明論を構築した。島尾にとって奄美とは何か。作品とその生き方から見えてくるものがある。
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