
2026-07-21
やさしい新書を目指して
――ちくまプリマー新書 編集長に尋ねた新書の魅力
今年で創刊21年目を迎えるちくまプリマー新書。若者を中心に、様々なジャンルの初学者にアプローチしてきたちくまプリマー新書に込められた想いを、編集長の藤岡美玲さんに取材しました。
- ちくま新書との違いとは
- 中学生から読めるけど、切り込んだ内容の新書
- 大人からのやさしさとして
- ちくまプリマー新書が目指す場所
- 厳選!編集長・書店員によるイチオシのちくまプリマー新書
- 編集長厳選!テーマ別おすすめ新書
- ちくまプリマー新書一覧
プロフィール
藤岡 美玲(ふじおか みれい)
ちくまプリマー新書編集長。大学卒業後、太田出版にてマンガや活字単行本の編集を担当する。2017年に筑摩書房に入社。ちくま新書編集部の後、2023年より現職。

※以下、敬称略
聞き手
mashiro(マシロ)
2022年丸善ジュンク堂書店に入社。丸善 丸の内本店にて、1年半文庫・新書担当を務める。現在は丸善ジュンク堂書店ネットストアにてコンテンツ制作を務める。同ネットストアにて「人生を100倍楽しむための新書」を連載中。
ちくまプリマー新書
2005年1月に創刊された、年齢を問わずすべての初学者にむけた新書レーベル。プリマー(Primer)とは、「入門書」を表す。生き方や学び方などの普遍的なテーマを中心に、知的好奇心を刺激する新書を刊行している。
ちくまプリマー新書編集部
@chikumaprimer
ちくま新書との違いとは
筑摩書房では、ちくま新書とちくまプリマー新書の2種類の新書を刊行されていますよね。各ホームページでコンセプトを拝見しました。ちくま新書は「考える力、生きる勇気がわいてくる“元気のでる”新書」、ちくまプリマー新書は「これまでの新書よりもベーシックで普遍的なテーマを、より若い読者にもわかりやすい表現で伝え」る新書としてコンセプトが掲げられていました。
「“元気のでる”新書」というコンセプトで思わず衝撃を受けてしまいました。
「どういうこと?」と思いますよね。このフレーズはちくま新書の「創刊のことば」にすでにありました。創刊10周年の編集長インタビューによると、ちくま新書ができた頃には、新書御三家と言われる岩波新書・中公新書・講談社現代新書の存在があまりにも大きかったので、それらのレーベルよりも「なるべく若くて勢いのある著者に」書いていただこうという方針で始まったそうです。そういう背景もあって、「“元気のでる”新書」というコンセプトが掲げられたのかなと思います。1994年に創刊という世相もあるのかもしれませんが。
「“元気のでる”新書」の精神はちくまプリマー新書にも通じるところがあると思います。
そうですね。プリマー新書に入ったときに先代の編集長から聞いた心得の一つに、「マイナスな感情に働きかけない」というものがありました。これは私も大事だと思っていて、「これをやらないとヤバい」と不安を煽るような打ち出し方はしないということを心がけています。
書店員の立場として、ちくま新書は大人のためのチューター的存在にあたる入門書、ちくまプリマー新書は中学生以上の若者に向けた知的好奇心を育むための入門書としてのイメージを抱いておりますが、その点についてはどのように意識をされていますか?
ちくまプリマー新書は児童書ではなく、中高生から読める一般書として作られています。創刊時の資料を見ても、「まず子供たちに、そしてすべての大人たちに伝えたい大事なこと」というコンセプトが掲げられていました。創刊1冊目は橋本治さんの『ちゃんと話すための敬語の本』、2冊目は内田樹さんの『先生はえらい』で、子どもにとっても大人にとっても大切な普遍的なテーマについて、第一線で活躍する著者の方々が執筆してくださっています。ちくま新書に比べると問いの設定のしかたが広くなっていて、生きるための根源的な問いをテーマにすることを意識しています。
もともと筑摩書房は『ちくま少年図書館』(1970~86年)、『ちくまプリマーブックス』(1987~2003年)など、子ども向けのシリーズを出版し続けていましたが、その流れを汲みつつも、より広い読者層を対象としたレーベルです。
筑摩書房には「ちくまQブックス」(10代の読者に向けて、「問い」を入口に考える楽しさを届けるシリーズ)というレーベルもありますが、対象年齢でいうとQブックスとちくま新書の中間の入門書という立ち位置にあるのが、ちくまプリマー新書なんでしょうか。
ちくまプリマー新書といえば、装幀がおしゃれなところも魅力ですよね。新書といえば、装幀は全部同じだからこそキャッチーでわかりやすいタイトルで勝負をするところがありますが、ちくまプリマー新書は思わずジャケ買いをしてしまうような、魅力的なデザインの新書が多いです。
プリマー新書の装幀は、創刊以来すべてクラフト・エヴィング商會さんが手掛けられています。クラフトさんのお話によると、ちくまプリマー新書の創刊に携わった編集者が打ち合わせに伺ったとき、「子供たちに何かひとつだけ伝えるとしたら、あなたは何を伝えますか」というコンセプトで本をつくりたいと言ったそうなんです。それを聞いたクラフトさんが、「一冊一冊が著者から読者への贈り物だから、リボンをかけた小箱をプレゼントするように本をつくりたい」と考え、一冊ずつ中身に合ったデザインをすることになったそうです。今も毎月すべてのゲラをお送りしていて、それを読んだうえでカバーを考えてくださっています。
だから、ちくまプリマー新書の装幀はプレゼントの包装紙なんです。
装幀を「包装紙」と捉えるところに、やさしさを感じます。
クラフト・エヴィング商會さんには細かいお願いをしていないので、毎月どんなカバーデザインをいただけるのか、ドキドキしながら待っています。
最近の担当作で面白かったのは、佐藤賢一さんの『歴史小説のウソ』ですね。ペンを持った手がたくさん散りばめられたデザインになっています。これは「書きたい放題」という意味なのではないかと思っていて……。この本では、私たちがなぜ創作物の中に「歴史の真実」があると感じるのか、その理由を歴史小説家がひもといています。第二章で小説家が読者にウソを真実だと思わせるテクニックを惜しみなく開陳しているので、クラフト・エヴィング商會さんが「歴史小説家は書きたい放題だ!」と、たくさんの手で表現したのではないかと思いました。思うだけで、直接意図を伺って答え合わせをしたことはないんですけど。
考察が捗りますね。この『嫌な気持ちになったら、どうする?』(中村英代)のカバーには草原と空が描かれていますが、「きっと、嫌な気持ちになった時、自然の中で空を見上げて嫌な気持ちを忘れようとしていることを表しているのかな」と考えてしまいました。
マイナスな感情に働きかけないとか、装幀は包装紙だと聞くと、ちくまプリマー新書はやさしい新書だと思います。加えて表紙のビジュアルが魅力的だという意味では、やはり読書対象は若者ということになりますか?
それが、編集部内でも分かれるところで……。編集長になったときに、これまでプリマー新書編集部だった社員全員に話を聞いてみたんです。そうすると、「中高生向けの新書」と言っている人もいれば、「年齢は問わない、最初に読む入門書のシリーズだ」言っている人もいて、「難しいことを言わないでくれ……」という気持ちになりました。結局、この2つの軸を行き来しているところも、ちくまプリマー新書の特徴なんだと思います。その時の編集長の方針や、時代・社会のあり方、見えている読者層によって、どちらかに寄ったアプローチを取りながら、20年間続いてきたという印象です。編集者がそれぞれやりたいことや得意なこと、やるべきだと考えたことをやって、そのなかで売れた本や高く評価していただいた本が、そのときのちくまプリマー新書のカラーになっているということなのかなと思いました。
現在はどちら寄りでしょうか?
どちらかというと、今は入門書が強いように思います。『客観性の落とし穴』(村上靖彦)、『世界の力関係がわかる本』(千々和泰明)など、ある分野についての最初の一冊になる本のヒットが続いているので。でもこれも、書き手の方が若い読者を意識しているからこそ、基本的な概念の説明を飛ばさないとか、誰もが一度は疑問に思ったことをフックにするとか、さまざまな工夫をしてくださっているおかげだと思います。
私としても、「若い人向け」というのは最強のフリだと思っているので、これは維持しながら、幅広い読者にとって最初の一歩になる新書をつくりたいと考えています。
中学生から読めるけど、切り込んだ内容の新書
中高生だけでなく、年齢問わず様々な人が読んで楽しめるような新書になっているということですが、中高生が読むにしては、かなり踏み込んだ内容になっていますね。例えば、2025年に丸善ジュンク堂書店全体でいちばん売れたちくまプリマー新書『カードゲームで本当に強くなる考え方』(茂里憲之)ですが、カードゲーム攻略本かと思ったら実は確率論や行動経済学などの学術的な内容が含まれていますよね。普通、新書であれば「確率論入門」みたいなタイトルをつけがちだと思いますが、なぜ「カードゲーム」をタイトルに入れたのでしょうか?
実はこれはカードゲームが先で、『カードゲームで本当に強くなる考え方』の担当が、大会に出るほどポケカ(ポケモンカードゲーム)が好きなんです。その担当者が企画会議で、著者の茂里憲之さんが同人誌で出されたカードゲームの本がとても面白いと熱弁して、「この企画はパッションです」と言ったので、「そうか」と思って通しました。会社に企画を報告するときも、「この企画はパッションだそうです」と言いました。
もともと、分野として確立されていなくても、若い読者が興味を持っていることの入門書を出せるのはプリマー新書の強みだと思っていました。とはいえ、ちくまプリマー新書で入門新書として出すにはなんらかの体系が必要だと思ったので、もとの構成案にもあった、確率論や行動経済学などの学問の導入になるという道筋をしっかり打ち出してほしいという話はしました。
「本当に」がついていることでより説得力がありますよね。
最近、『エロってなんだろう?』という新書を読ませていただいたのですが、著者の山本直樹さんと蛙亭・イワクラさんとの対談の中で、「お笑いとしてのエロ」と「コンプライアンスに反するエロ」の線引きについてお話しされていました。どこまでが良くてどこまでが悪いかを考えるうえで本質をついた内容で、大人としての責任を感じさせられました。
『エロってなんだろう?』は「山本直樹さんに、若い人に何か一つだけ伝えたいことを書いていただきたい」と考えて企画した新書です。山本さんとは前職でお仕事をご一緒していて、そのご縁があってこの本が誕生しました。
山本さんは、ご自身のマンガ作品が東京都の不健全図書指定を受け、回収・絶版されるという経験をされています。また最近では、いわゆる「萌えキャラ」のイラストを使った広告を公の場で掲示することへの規制が議論にもなりました。こういった表現規制の問題についてどう考えるのか、本質に真摯に向き合った新書になったと思います。山本さんはエロマンガを生業にする上で、違う価値観を持つ現実の他者を尊重することをとても大事になさっています。なので、本書には年齢も性別も違う方の視点を入れたいと思いました。そこで、「エロ」と「楽しさ」を両立させているお笑い芸人のイワクラさんに依頼し、対談が実現しました。
何が有害かは権力が決めることじゃない。親と子、あるいは社会のなかでコミュニケーションをしていかなければならないという思いが込められています。
春画を芸術としてみるか否かという問題や、地方の広告のために萌えキャラを採用することに対して抗議が起こるなどのような問題が現実にはありますが、この新書では、その線引きの基準について徹底的に考えられていると感じました。
性的なことに限らず、自分で良し悪しを判断できる人間になろう、というテーマを感じます。
大人からのやさしさとして
実際にちくまプリマー新書を購入されるのは、どのような層でしょうか。
一般的な新書よりはだいぶ若く、男女ともに30~40代が多いのが特徴です。保護者や学校の先生、司書の方が、子どものため、あるいは自分のために買われているのだと思います。
親御さんや先生方は、どのような内容の新書をよく購入されますか?
学校採用では、『中学生からの大学講義』シリーズが一番ですね。神奈川県にある桐光学園さんでは、毎年さまざまな分野の専門家がオムニバス形式で講義をしています。その内容を、「何のために学ぶのか」「考える方法」といったテーマごとにまとめたシリーズです。豪華な執筆陣が、大学での学びに必要なことをコンパクトに伝えてくださっているので、本当の「はじめての入門書」として支持されていると思います。
それ以外では、『友だち幻想』(菅野仁)が長く読まれ続けていますし、『はじめて学ぶ生命倫理』『「日本」ってどんな国?』『学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか』『客観性の落とし穴』『はずれ者が進化をつくる』も毎年多くの学校に採用されています。このラインナップを見ると、先生や親が言うようなことではない、第三者的というか、生きるうえで必要な斜めの視点を持ってほしいという親心を感じるんですよね。「みんな仲良くという考えを疑う」とか、「客観的って本当にいいことなの?」とか。
学術入門書的な立ち位置の岩波ジュニア新書と、そのあたりが少し違うように思います。
先生とはまた違う立場の大人のやさしさ を感じられるようなラインナップです。私自身、小川洋子さんの『物語の役割』を課題図書で中学生になる前に読んだことがあるのですが、それも大人からのやさしさだったのかもしれません。ですが、それ以降読書に没頭することがなく大人になってしまい、思春期に抱えたモヤモヤとした気持ちを今ちくまプリマー新書を読みながら気持ちを整理しているところなので、もっと早く出会っていれば……!と後悔しています。
自分の経験に照らしても、本好きの子って「子供向け」って言われると読みたくなくなってしまうものだと思うのですが、「どうせ買うのは大人でしょ」と開き直ってしまうことも嫌で、その塩梅が難しいなと思っています。
中学校・高校の先生や親だけでなく、大学一年生の教材としても採用されると聞きましたが、どういった新書が選ばれやすいのでしょうか。
私が聞いている範囲では、社会学系が多いです。もともとちくまプリマー新書は『社会は「私」をどうかたちづくるのか』『社会を知るためには』など、社会学の入門書が充実しているのですが、これらの本をゼミの入門書として使っているという声をよく聞くようになりました。数字を見ても、大学生協からの注文が近年増えているようです。
ちくまプリマー新書が目指す場所
お話を伺っていると、ちくまプリマ―新書というのは、とても自由度の高いレーベルだなと感じましたが、自由ななかでもどのあたりがプリマ―新書の特徴と言えるでしょうか?
ちくまプリマー新書の特徴は、面白い問いがあることだと思っています。年齢は関係なく、生きていく中で抱いた問いについて深く考え、新たな発見をする助けができるようなレーベルでありたいと思います。
また、大人が子どもに勧めてくださっているということを考えると、余計に「ネガティブな気持ちを煽らない」というのは大事にしたい特徴です。「こういうことができないとまずい」ではなく、「こういう考え方もあるよ」と、別の視点を提供してきたからこそ、ちくまプリマー新書が信頼されてきたのではないかと感じています。
自分を否定されるような物言いをされると落ち込んでしまいます。そうではなく、違う視点を教えてくれるというポジティブな姿勢に救われることが多いと思います。私なりにちくまプリマ―新書を一言で表すとやっぱり「やさしさでできた新書」になりますね。今日は、新書の舞台裏のお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。
厳選!編集長・書店員によるイチオシのちくまプリマー新書
締切と闘え!
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島本 和彦
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筑摩書房
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私は学生時代から島本和彦先生のファンでした。『吼えろペン』の主人公・炎尾燃(ホノオモユル)のセリフは、締切に追い詰められた時の気持ちに寄り添ってくれるような名言ばかりです。
この本は聞き書きで作っていて、最初の取材では「スケジュールの立て方」「言い訳の仕方」「謝り方」など具体的な締切との付き合い方についてお話を聞こうと考えていました。ところが、取材にいらした島本先生が、開口一番「人生には締切があります」と仰ったんです。「あのとき子どもを抱っこしておけばよかったと思っても、取り返しがつかない。人生にはその時にしかできない挑戦があります」と。その瞬間に、本書の方向が決まりました。
編集の仕事をしていて一番面白いのは、自分の企画したものから斜め上に外れたものが出てきたときです。「こういう本があったらいいな」と思って企画立案をし、著者の方から思っていたのとは違うけど最高の原稿をいただいたとき、本当にやっていてよかったと思います。制作過程も含めて、思い入れのある一冊です。
筑摩書房 ちくまプリマー編集長 藤岡 美玲さん
先生はえらい
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内田 樹
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筑摩書房
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内田樹といえば『日本辺境論』や「街場」シリーズなどが有名ですが、数ある著書の中でも、私はこの『先生はえらい』を一番に推します。
「合理性があること」「根源的に考えること」そして、一見「逆説的であること」が内田先生の文章の特徴だと思いますが、本書にはそのエッセンスがしっかりと詰まっています。
生の文章の特徴だと思いますが、本書にはそのエッセンスがしっかりと詰まっています。
本書で語られているのは、万人に共通するいい先生というのは存在しない。したがって、そういう先生に出会えるかどうかは運に左右されるものではなく、自分次第であること。そして、師弟関係は、本質的に美しい誤解に基づくものである、という事だけです。
それを語るために恋愛論、学び、沈黙交易、コミュニケーションにまで論は及びますが、この途中のお話はきれいさっぱり忘れてしまったとしても、最後の「沓を落とす人」の章だけは強烈に記憶に残ります。
登場人物は2人。若き日の漢の時代の大将軍・張良と、太公望秘伝の兵法の奥義を極めたという、よぼよぼの老人です。この老人が馬に乗ってやってきて、張良の前で片方の沓(くつ)を落とす。別の日、同じように両足の沓を落とす。それを拾って履かせることで、張良はすべてを察して奥義を会得したという逸話です。
何の話だかさっぱりわかりませんよね。この謎を内田先生は見事に解き明かしてくれるのが本書の醍醐味です。
丸善ジュンク堂書店 営業本部 営業企画部 T.O
徒然草をよみなおす
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小川 剛生
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筑摩書房
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『徒然草』といえば、中学校の教科書で出会った、という方も多いのではないでしょうか。
先日、ピクニックの帰りに横浜の金沢文庫に立ち寄った際、鎌倉北条氏と兼好法師に関わりがあることを知り、『徒然草』や『太平記』への関心があらためて高まりました。
本書は、「無常観を主題とした遁世者の随筆」と語られがちな『徒然草』を、当時の社会や人間関係の文脈に置き直し、その本当の姿を読者に見せてくれる一冊です。
学校の勉強では、○か×かで受け止めてしまい、よい思い出のないまま、その題材から離れてしまうことがあります。けれど、「学校ではさわりだけ教えてもらった」と捉え直せば、古典はもう一度、自分のものにできる。
本書を手がかりに『徒然草』の世界を想像し、自分の中に取り入れていくことは、とても楽しい読書体験です。古文も慣れてくると、その言葉だからこそ情景にぴったりくる瞬間があります。
丸善ジュンク堂書店 営業本部 営業企画部 S.I
「面白い!」を見つける
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林 雄司
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筑摩書房
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著者が編集長を務める「デイリーポータルZ」には、様々な企画が記事化されている。それはいずれも日常に潜む面白さに注目したものばかりです。
コロナ禍の中で、私たちはモニター式の体温測定器を見かけることがたくさんありました。長方形に囲われた顔の上に、体温が表示される。ただそれだけのことなのに、画面上ではなく現実でその枠を制作し、その上に体温を書いたお面をつけて歩いてみると、とても滑稽に見えます。その様子は本書で写真が掲載されているのでぜひ見てほしいです。
そういった私たちの日常に潜んでいる「面白さ」を見つける視点を身につけることができ、自分の見ている世界がもっと面白くなる新書です。自分の半径1メートル以内には、「面白い」が潜んでいる!
丸善ジュンク堂書店 営業本部 営業企画部 mashiro
編集長厳選!テーマ別おすすめ新書
年齢別
悩み別
教養別
《撮影》丸善ジュンク堂書店









































