
2026-10-05
中公新書ラクレがリニューアル!
読者に届けたい「エンタメ教養の”鍵”」
2026年9月をもってリニューアルをした中公新書ラクレ。2時間の知的旅行に誘う「エンタメ教養新書」を目指す中公新書ラクレに込められた想いを、編集部に取材しました。
- 中公新書と中公新書ラクレの違いについて
- 未来を見なければいけないという使命感
- 2時間の知的旅行に誘うエンタメ教養新書
- 大人の違和感に答える新書
- 時代を駆動する人々の羅針盤
- 厳選!編集長・書店員によるイチオシの中公新書ラクレ
- 書店員おすすめの中公新書ラクレ
- 中公新書ラクレ一覧
プロフィール
中西 恵子(なかにし けいこ)
地方新聞社記者を経て、2006年より中央公論新社入社。月刊『中央公論』編集部を経て、2017年より書籍編集者に。中公新書ラクレ編集長、ノンフィクション編集部長を経て現職。ラクレ編集長は二度目。担当した書籍は、ラクレ『ハーバード日本史教室』(佐藤智恵)、『ウクライナ戦争の嘘』(手嶋龍一×佐藤優)、『開業医の正体』(松永正訓)、単行本に『安倍晋三回顧録』(安倍晋三他)、『つながり続けるこども食堂』(湯浅誠)等がある。

※以下、敬称略
中公新書と中公新書ラクレの違い
中公新書
1962年創刊の教養新書レーベルです。歴史、政治、科学など幅広い分野から「真に知るに価いする知識」の提供を目標に刊行中。現在2900点を突破。
中公新書ラクレ
2001年に刊行された新書。「ラクレ(La Clef)」とはフランス語で「鍵」の意味。中公新書より時事性の高い作品をスピーディーに刊行することを目指して創刊された。
中学校の教科書の内容が分かっていれば十分理解できる内容。
未来を見なければいけないという使命感
――このたび、リニューアルをされるそうですが、なぜリニューアルすることになったのでしょうか?
中公新書ラクレの創刊はいまから25年前です。中公新書が、「THE教養新書」であるのに対し、兄弟分の中公新書ラクレは、都市部の若者やビジネスパーソンに向けて、時事性の高い内容をスピーディーに刊行することを目指し創刊されました。一方で、ここ5年から10年ぐらいは、五木寛之さんの『孤独のすすめ』、森村誠一さんの『老いる意味』、若宮正子さんの『独学のススメ』のような、定年後の生き方・人生論のような内容が増え、気がついたらビジネスパーソン向けというより、主に60代、70代の方々に喜んでいただける作品を作るようになっていました。
それもとても大事なことなんですけど、今の世の中を変革する主力である現役世代と一緒に社会を考えたい、混迷の時代を読み解く「鍵」を探したいと思い、改めて原点回帰しようと思いました。中公新書ラクレを通して、遠い未来も見なければいけないという使命感が、大きなきっかけとなりました。
2時間の知的旅行に誘うエンタメ教養新書
おりしも2026年は、中央公論新社は創立140周年、ラクレ創刊25周年にもあたるため、リニューアルにもっともふさわしい時期と思い、「2時間の知的旅行に誘うエンタメ教養新書」として、改めて打ち出すことにしました。読みよく楽しいエンタメ教養新書を目指します。現在のラクレ編集者は、おもしろいことが好きで、ユーモアのある編集者ばかりです。そうしたおもしろがりの編集サイドの熱量も伝えていきたいと思います。
――リニューアル後の新刊について、どのようなものを刊行されるか教えてください。
リニューアル時期には、社会の分断を考える『リベラル疲れ』(鈴木大介、9月)、人類が占いと不即不離であることの秘密を解き明かす『占い師の正体』(鏡リュウジ、9月)、自衛隊幹部学校の講義録をベースに編んだ『戦略論入門』(奥山真司、10月)、身体という制約がある人間だからこそ味わえる感動の意義を考える『言葉にならない感動を科学する』(大黒達也、10月)、『新・日本経済論』(飯田泰之、11月)などを刊行します。すべて2時間の知的旅行に誘うエンタメ教養新書です。
――今回、書店員として衝撃的な新刊が鏡リュウジさんの『占い師の正体』でした。どのような内容になるか気になります。
ありがとうございます。古代から現代まで、人間と占いは切っても切れない関係にあります。不思議ですよね。なぜこれほどまでに科学が発達した時代にも、人々は占いを必要とし続けているのか。稀代の占い師である鏡さんにご執筆いただきました。
鏡さんご自身が占いをなぜ始めたか、占いについてどう考えているかなど、ご自分のお仕事についても結構語っていただき自伝的な内容になっています。30代の男性編集者が担当しました。
面白いのは、鏡さんご自身が占いについて当たると思っていないこと。ビリーバーではないんです。だから、当たらなくてもあんまり気にしないとか……。とはいえ、今日の夜ご飯は、肉にしようか魚にしようかを決めるためにタロットを引くこともあるそうです(笑)。
そんな冷静な鏡さんが占いに引き込まれ続けたのはなぜか。鏡さんの半生をたどると、占いと人間の不即不離な関係が浮かび上がります。
「当たるからではない。生きるために人は占う」という占いの本質が見えてきます。
大人の違和感に答える新書
また、今回のリニューアルで、大人の素朴な疑問や違和感に応えることも目指しています。
多様性を重視する社会にあって、誰もが「正解」にも「モデル」にもなりにくい時代に入りました。年齢を重ねても、かつてのように「大人」の型に逃げ込むことができません。いくつになっても迷いの多いままで、誰もかれもが成熟できない。そうした「迷える大人の素朴な違和感(疑問)にこたえたい」と思っています。
神経質なほどコンプラに振り回される社会を描いた『コンプラ過剰社会』(舟津昌平、10月)、人間の命をどこまで自分でコントロールしていいのかを考える『ふだんづかいの生命倫理学』(平尾昌宏、9月)などは、まさに大人の違和感にこたえようとする作品です。
ちくまプリマー新書さんは、主に中高生の違和感にこたえるレーベルだと勝手に思っていますが、中公新書ラクレは、成熟なき時代にさまよう大人たちの疑問や違和感にこたえたい。
『コンプラ過剰社会』は、コンプライアンスに対する意識が高まっている現代で、そもそも「コンプラって何だろう」という違和感に答える内容です。
サブタイトルは、「法令遵守が私刑の武器に変わるまで」。
コンプラに触ったら、社会的に抹殺されるという恐怖が広まり、人々がコンプラに過剰に怯えているように見えます。ただ、何がセーフで、何がアウトなのか。そもそもコンプラって何なのか、どう意味が変わっていったのか、という議論は棚上げされている感じもします。コンプラの基本の基本を考えるための一冊になると思います。40代の編集者が心を込めて作りました。
時代を駆動する人々の羅針盤
また、30、40代のビジネスパーソンなど、時代を駆動する人々の羅針盤を目指したいとも思っています。
アメリカとイランの戦争、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとガザの紛争。世界中が戦禍にまみれ、円安、インフレなど 先行き不透明な時代になりました。社会を変革する際に駆動する主力となるのは現役世代です。同じ時代の空気を吸う現役世代とともに先に進むための手がかりを探したいと思っています。
その思いでつくるのが、分断社会を考える『リベラル疲れ』(鈴木大介、9月)、『ゆっくり急げ』(ヤマザキマリ、9月)、『戦略論入門』(奥山真司、10月)、『新・日本経済論』(飯田泰之、11月)などです。
鈴木さんの『リベラル疲れ』は、世の中の分断の淵源について考察を深めた作品です。鈴木さんはリベラルな著者として多くの読者に愛される作家さんですが、数年前に千葉県の農村の自治会長さんになったことで、はじめて保守の意義について体感されたことをご執筆くださいました。
地域の日常を守るというのは、保守的とされている自治会による重要な仕事です。そんな仕事に携わる日々の中で、鈴木さんが保守の大切さを実感される様子が描かれています。同時に、考えの違う人間をシャットアウトするリベラル側の問題点にも目を向ける。かつて鈴木さんが思想の違いから疎遠になった友人との再会を果たし、対話を再開する中で、もしかしたら社会の分断の原因は、自分たちリベラルの側にあるのではないのか――と考えるようになる。
鈴木さんの実体験があるから、書かれていることに対して説得力があり、共感もしやすい内容で、面白い新書です。
時代の羅針盤を目指す一冊だと思っています。
――今回、リニューアルによって装幀が大きく変化しましたが、なぜこのような装幀になったのでしょうか?
たとえば、東浩紀さんが書かれた『ゲンロン戦記』や、中村桂子さんの『人類はどこで間違えたのか』などはおかげさまで大変に話題になりましたが、中公新書ラクレであることには「気が付かなかった」という人がたくさんいらっしゃいました。編集部としてはとても悲しいことでした。これはさすがにもったいないなと。 「中公新書ラクレ」をレーベルとして認識してもらいたい。書店で並べたときに、中公新書ラクレであると思っていただけるよう、統一感のあるスタイリッシュな装幀に一新しました。
装幀は鍵穴をイメージしてアーチをあしらっています。メインカラーは、ティーグリーン。鍵穴のコアの部分は、中公新書と同じ濃い緑色を使いました。他の新書には使われていない緑色を使用することで、中公新書の兄弟分として横に並んだ時に、棚がかっこよくなったらいいなと思い、この装幀になりました。装幀家は、永野有紀さんです。
ちなみに、フランス語の「ラクレ(La Clef)」は「鍵」という意味を表します。装幀にデザインされている鍵は中公新書ラクレの象徴です。この鍵は、「不確定な時代を読み解く鍵」「大事なものを守る鍵」「謎を解く鍵」といったイメージをもとに考えられています。今後も中公新書ラクレにとって、”鍵”を大事な存在として扱っていきたいです。
厳選!編集長・書店員によるイチオシの中公新書ラクレ
リベラル疲れ
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鈴木大介
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中央公論新社
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一貫してリベラルの立場で執筆を続けてきた鈴木さんは、なぜ「リベラル」に疲れてしまったのか。農村の自治会長を務めて従来とは違う「保守」のあり方を知った著者は、思想信条ゆえに疎遠になった旧友たちとの対話再開を試みます。なぜ日本人は他者の話に耳を傾けることができなくなってしまったのか。様々な反響を引き起こした『ネット右翼になった父』の続編として、分断を憎み、新たなリベラルの形を模索する著者の内省と実践の記録です。
占い師の正体
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鏡リュウジ
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中央公論新社
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古代より、人間と占いは切っても切れない深い関係にあります。これほど科学が発展した現代においても、人間は占いを求め続けています。それはなぜなのか。稀代の占い師、鏡リュウジさんが、ご自身の半生を振り返りながら、占いの魅力と不思議に迫ります。「当たるからではない。生きるために人は占ってきた」んです! 東畑開人さん絶賛です。
ゲンロン戦記
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東浩紀
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中央公論新社
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イベント・出版事業を手掛ける会社「ゲンロン」を立ち上げた東さんが、10年の活動についてまとめた一冊です。自らマネタイズすることによって思想や言論を守ろうとした東さんの戦いの軌跡です。考えてみれば、識者をポジショントークに追い詰めて消費し、民意を分断しても平気なメディア、市場原理に飲み込まれ、安くて、薄い書籍を作る出版社など。世の中にはつまらないことがたくさんあります。東さんからの挑戦状ともいえる一冊。熱いです!
人類はどこで間違えたのか
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中村桂子
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中央公論新社
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気候変動、パンデミック、格差、戦争……。人類の生き方が問われています。生命誌研究のパイオニアが科学の知見をもとに、古今東西の思想や文化芸術、実践活動などの成果をも取り入れて「本来の道」を探ります。40億年にわたる生命の歩みを振り返ったうえで、サピエンス史を検証。環境を破壊し、格差を生み出した農耕の“原罪”が浮かび上がり、身近な「土」の重要性が明らかになります。レジェンド科学者の結論です。
本を読めなくなった人たち
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稲田豊史
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中央公論新社
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『映画を早送りで観る人たち』著者の待望の続編です。〈倍速視聴〉から見えたコンテンツ消費における〈コスパ〉〈タイパ〉という欲望は、読書においてはどう作用しているのか。「本を読めない人たち」への徹底取材をはじめ、テキスト受容を取り巻く読者と出版社/ウェブメディアの現状をリポート。一体「本を読めなくなった人」は何を考えているのか。生の声を取材することで、現代社会のメディア状況への考察を深めた一冊です。
開業医の正体
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松永正訓
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中央公論新社
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公的存在としてあらゆる情報開示を求められる病院と違い、実態がわかりにくい開業医の仕事を解剖したエンタメ新書です。小児外科医の松永さんは、がんを患う小さな子供たちを必死で助けてきた、大変にまじめで素晴らしいお医者さんですが、この本でエンタメという新境地に足を踏み入れてしまいました(笑)。開業医に近づく怪しい業者さんや、困った患者さまとの日々をコミカルに赤裸々に綴ります。くすっと笑える一冊です。
書店員おすすめの中公新書ラクレ
カラー版 水族館のひみつ
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泉貴人
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中央公論新社
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水族館に対する様々な疑問や舞台裏について答えてくれるような新書です。水族館の生き物たちはどうやって水族館にやってくるのか?水槽の中にいるマグロは共生する小魚を食べることがあるのか?読むと今まで以上に水族館での楽しみが増えます。各水族館のおすすめポイントも丁寧に書かれているので、行きたい水族館を選ぶガイドブックとしてもおすすめです。
(営業企画部 ネットストア事業室 mashiro)















