【『がん看護』の特長】
がんの医学・医療的知識から経過別看護、症状別看護、検査・治療・処置別看護、さらにはサイコオンコロジーにいたるまで、臨床に役立つさまざまなテーマをわかりやすく解説し、最新の知見を提供。
施設内看護から訪問・在宅・地域看護まで、看護の場と領域に特有な問題をとりあげ、検討・解説。
告知、インフォームド・コンセント、生命倫理、グリーフワークといった、患者・家族をとりまく今日の諸課題についても積極的にアプローチし、問題の深化をはかるべく、意見交流の場としての役割も果たす。
【今号の特集にあたって(序文)】
看取り期(予後1~2 週間程度の意識レベルが落ちてきた時期:臨死期)には,痛みや呼吸困難,全身倦怠感や身の置き所のなさなどの苦痛症状の悪化,日常生活自立度の低下や食事・水分摂取量の低下などが起こります.また,精神面ではせん妄症状をきたすことが多く,死の恐怖にさいなまれる患者も少なくありません.患者の状態が悪化するなかで,家族も不安を抱え,家族への十分な説明やケアも必要となります.
過去には看取り期のケアは経験的になされてきた時代がありました.しかし,現在では多くの研究成果とともにガイドラインが整理されつつあります.しかし,臨床の看護師が研究論文やガイドラインを読みこなすのはたいへんなことです.
そこで本特集では,現場の最前線で患者・家族と向き合っている看護師を対象に,ガイドラインや最新のエビデンスをわかりやすく伝えることを目標にいたしました.多くの緩和ケアに関するガイドラインは予後が6 ヵ月以内程度の終末期の患者を対象としており,看取り期に限った臨床問題(クリニカル・クエスチョン)はあまり多くありません.したがって,ガイドラインを看取り期に応用する際には,エビデンスを目の前の患者にいかに応用するかということが課題になります.
本特集では,最新のエビデンスについて詳しい執筆者のみなさまに,治療やケアの根拠となるエビデンスについてしっかりと記載していただくとともに,看取り期の患者に対してどのようにエビデンスを活用するか,科学的な視点と臨床的な視点をバランスよく解説していただくことを依頼しました.
本特集によって,看取り期の患者・家族のケアに携わる臨床の看護師が自信をもって日々のケアを提供できるようになり,ひいては患者・家族の利益につながれば幸いです.
編集 宮下光令(東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻緩和ケア看護学分野)