■スパイ防止法
スパイ防止法制定の具体的な動きが始まった。参政党は、「スパイ防止関連2法案」を11月25日に提出。同26日の党首討論で神谷宗幣代表がスパイ防止法に関する構想を質問し、高市早苗首相は「現在考えておりますのは、まず基本法的なもの、そして外国代理人登録法、それからロビー活動公開法などについても、今年検討を開始して、速やかに法案を策定するということを考えております」と応じた。そして、国民民主党は同26日、スパイ防止策を含む「インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する法律案」を提出した。だが、日本は「スパイ天国」ではない。スパイ防止法の危険性を特集する。
●高市首相が前のめりの理由は中国との「スパイ交換」実現か
佐藤和雄
高市早苗首相が率いる自民党と日本維新の会による初めての連立政権――。いつまで続
くかは、現時点ではきわめて見通しにくい。ただ、その政治状況の中で、自民党と公明
党の連立政権では長らく遠ざけられていた、いわゆる「スパイ防止法」制定への動きが強まっているのは確かだ。野党でも国民民主党と参政党などが前のめりになっており、さらに高市氏自身の積極姿勢が、弾みをつけさせている。その背後には何があるのか。スパイ防止法が本当に実現するのであれば、そこから生じるさまざまな問題をどう防ぐべきなのか。
●憲法の最重要原理・人権尊重を著しく脅かす社会に
「スパイ防止法」制定の必要性・正当性はない
清末愛砂
国家安全保障という大義名分で保守政権が長年、導入をもくろんできた「スパイ防止法」。成立すれば国の都合の悪い情報を潰し、気に入らない市民を逮捕・処罰すること
も可能となる。戦前同様の思想弾圧を招く法律は日本国憲法の理念をふみにじるものだ。
●世間話をしただけで「スパイ」の疑い
思想弾圧・相互監視の負の歴史
吉永磨美
戦前のスパイ防止施策は、軍事秘密を守る大義名分で、軍機保護法や国防保安法などによる取り締まりが行なわれた。当時、機密保持の概念を市民に広げる方策として使われた紙芝居が保存されている。「スパイ防止」の名目が最終的にどのような市民生活につながるのかを知る貴重な資料だ。内容を紹介する。
●朝鮮半島の「11・22事件」と「第十八富士山丸事件」から検証
「スパイ」は簡単にでっちあげられる
西村秀樹
韓国で在日コリアンが「スパイ」容疑で検挙され、9人が死刑判決を受けた1975年の「11・22事件」は、今年で50年を迎えた。また、83年には北朝鮮で2人の日本人が「スパイ」容疑で抑留された「第十八富士山丸事件」が起きている。二つの実例から、どんな人がどんな容疑で「スパイ」にされたのかを検証する。