アイデア 2026年 04月号 [雑誌]

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商品説明
特集│印刷史の断層
―リソグラフがひらく本づくりの未来

 長らく印刷は、均質性と再現性を理想として発展してきた。活版からオフセット、そしてデジタル印刷へと至るその歩みは、いかに正確に、いかに効率的に複製できるかという問いの積み重ねでもある。日本の出版文化もまた、著者、編集者、デザイナー、印刷所、流通、書店といった専門的分業のもと、その技術的基盤に支えられながら成熟してきた。
 しかし近年、その境界は静かに揺らぎ始めている。編集やデザイン、印刷、製本、流通といった役割を横断しながら本をつくる実践が広がり、小規模で柔軟な出版のありかたがあらためて注目されている。

 そうした動向と結びつくかたちで、再び注目を集めているのがリソグラフ印刷である。日本の理想科学工業株式会社によって開発されたこの印刷機は、教育現場や事務用の簡易印刷機として普及したが、2000年代以降、予期せぬかたちで海外のアーティストやデザイナーに見出され、ZINEやアートブックの制作現場で独自の文化圏を形成していった。そしていま、その文化は日本国内の動きとも響き合いながら広がりを見せている。

 リソグラフ印刷は決して万能ではないが、版ズレやかすれ、色ムラといった不確かさを内包しながらも、その偶発的な表情やアナログな質感は、画一的な大量生産とは異なる価値を提示している。均質性や再現性を軸に発展してきた印刷史のなかで、不完全さや不確かさといった制作の痕跡が批評的な意味をもち始めたいま、リソグラフ印刷は、その連続性の内部に異なる価値を差し込む「断層」として位置づけることができる。

 DIY的な試みから始まったこの印刷手法は、やがてZINEやアートブックへと展開し、いまではデザイン事務所やインディペンデント系出版社がオフィスに導入し、自らの手で出版を行う実践も広がっている。本特集では、こうした国内外のリソグラフスタジオやインディペンデント系出版社へのインタビューを通じて、印刷と出版の関係をあらためて問い直す。効率や均質性から距離をとる実践のなかに、これからの出版文化の可能性を探っていきたい。
目次
特集│
印刷史の断層
―リソグラフがひらく本づくりの未来
企画・構成:アイデア編集部 デザイン:LABORATORIES(加藤賢策、鎌田紗栄、小泉桜) 
撮影:青柳敏史
翻訳:ブラザトン・ダンカン、株式会社フレーズクレーズ、野中モモ

NEUTRAL COLORS
Knust
Pamflett
Hand Saw Press
ALBATRO DESIGN/ PRINT + PLANT
Outer Space Press
Terry Bleu
PURESU de Tokyo
Quintal
Brook Press

寄稿|
オルタナティヴな印刷、本、そしてグラフィックデザインの小さな歴史
文:永原康史

リソグラフとは何か:生産者・工房・協働
文:古賀稔章

インクで黒ずんだ手を洗いながら2月に考えたこと
文:川名潤

リソグラフと自主出版についての私感
文:野中モモ


小特集|
翼をもつラクダ ─ヤン・レニツァとポーランド派ポスターのパラドックス
文:カタジナ・マトゥル 
デザイン:パトリック・ハルジェイ
翻訳:株式会社フレーズクレーズ


連載│
デザイン蒐集家たちの部屋 第13回
「The Design Reviewed」part 5
East meets West & West meets East
──和本の美しさに魅せられて
文:中島悠子 
デザイン:山田和寛+竹尾天輝子(nipponia)
翻訳:株式会社フレーズクレーズ


物語と紙の文脈
BOOKS 大久保明子×川名潤
取材・構成・デザイン:長田年伸 協力:株式会社竹尾


展覧会レビュー|
デザインの公共性について
《デザインの先生》と《Egg Chain Drips》をめぐって
文・デザイン:長田年伸 写真:久家靖秀

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