日常診療の現場では,便秘や下痢といった便通異常を主訴に受診する患者に対応する場面が非常に多い.市販薬で対処可能な一過性の症状から,悪性腫瘍,器質的な炎症性疾患など見逃せない背景疾患が潜む症例,長期的に対処が必要な慢性機能性疾患まで,その病態は多岐にわたる.適切な診療のためには単に症状に対処するのではなく,それぞれの患者をどこまで評価し,どのように治療するか,どの状態になれば専門医へ紹介するかという一連の判断を系統立てて行うことが求められる.
そこで本特集では,慢性便秘症・慢性下痢症の定義,診断基準,病型分類,病態を整理しつつ,日常診療でおさえるべきポイントについて解説する.また,ガイドラインと最新のエビデンスに基づく薬物療法アルゴリズムを提唱しており,エキスパートの迷わない薬剤選択を紹介している.さらに薬物療法に難渋する症例に対して非薬物療法の最前線の実際を提示することで,専門医への紹介時に患者に対してリアルな説明を可能とする内容となった.