医療に関する論文は,いわゆる研究室(ベンチ)から基礎研究,臨床の現場(ベッド)から臨床研究,それらを橋わたしするトランスレーショナルリサーチ,など様々な形をもつ.共通するのは,臨床の現場から発した疑問を科学的手法で検証し,そのエビデンスを間接的あるいは直接的に用い,医療と医学の進歩に貢献する点である.臨床と研究は不可分であり,医療者として医療に従事する以上,論文作成は,さけて通ることができない.
一方,論文作成に含まれる様々なタスクと仕事量は,実際に経験しないと想像することすら難しい.アイデアを出し,科学的に実証,データを英文にすることは,論文の根幹を成すが,執筆という作業からみれば一部にすぎないともいえる.習得するには,実際に経験することが最大の近道である.論文を継続的に書くうえでのポイントは,周到な準備をする一方,心理的敷居を低くし数多く経験することであり,このやや相反することを両立させることである.本特集は,この矛盾をはらむ論文執筆にあたる心構えと実務的な指南をおりまぜ,若手医師の論文執筆の心理的敷居を低くすることを目的とした.