日本では慢性腎不全により透析療法を受けている患者数は30万人以上にのぼります.そのため成人医療において腎代替療法は決して珍しい医療ではありません.一方,小児の末期腎不全はまれであり,一般小児科診療のなかで腎代替療法に直接かかわる機会は多くありません.腹膜透析,血液透析,腎移植といった治療が実際にどのようなものであり,どのように選択され,どのような課題を抱えているのかについて,小児科医が具体的なイメージをもつ機会は多くないのではないでしょうか.そこで小児の腎代替療法の実際と課題を整理し,日常診療のなかで小児科医がその実際の姿を思い描けるようにすることを目指し本特集を企画しました.
小児の腎代替療法の現状について,腹膜透析,血液透析,腎移植それぞれの実際と治療選択の考えかた,そして日常診療のなかで直面する課題について解説していただきました.腎代替療法は専門性の高い医療ではありますが,子どもと家族の生活に深くかかわる以上,決して専門医だけの問題ではありません.
本特集を通して,腎代替療法を受けながら生活する子どもたちとその家族,そしてそれを支える医療スタッフの現場の様子を想像していただければ幸いです.小児の腎代替療法は子どもと家族の生活に密着した医療であり,その理解が広がることを願っています.