★特集1 教育と平和
戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない。――数千万人という膨大な犠牲の上に、世界大戦の「戦後」を歩き始めた人類社会の反省と決意を、ユネスコ憲章は、そのように表現した。
人の心に平和の砦を築くために、何ができるだろうか。
疑いようもなく、教育こそ、その最大のフィールドであろう。
ユネスコ憲章と同様、日本国憲法も戦争への反省から生まれた。私たちは、この憲法で、すべての人間が平和のうちに生きる権利を持つことを確認した。そのもっとも重要な公共的実践が、平和教育である。それは、戦後日本の土台を継承する営みである。
平和教育は、本質的に“政治的”である。なぜならそれは、戦争と暴力と差別の否定という理念に立つからだ。かつての世界戦争が、「人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった」(ユネスコ憲章)からである。
いま、教育現場の実践が、「政治的中立」という言葉によって呪縛されつつある。人の心に平和の砦を築くために、私たちは何を学び、何を次世代へ手渡していくのか。その課題と向き合いたい。
★特集2 戦後でありつづける――不戦の100年へ 2
本誌は、戦後80年となる昨年8月号の特集で、「不戦の100年へ」と銘打った。
そして今年、私たちは戦後八一年を迎えることができた。――だが、盤石の基盤があってのことではない。
高市首相は、トランプ大統領の要請があれば、ホルムズ海峡への自衛隊派遣を行なうつもりであった。私たちが再び侵略の加害者となっていた可能性はあった。
この一年、日本は確実に戦争への準備を進めた。「敵基地攻撃」の能力を持つ長距離ミサイルが熊本をはじめ配備され、武器輸出が解禁された。そして今、さらなる軍事費の拡大と日米軍事一体化を進めるための「安保三文書」の改定作業が始まった。
政府の設けた「有識者」会議で、「新しい戦い方」や「継戦能力」といった言葉が飛び交う。私たちが憲法によって戦争を禁じたことなど、どこ吹く風という態度だ。
この“戦後”を終わらせてはならない。私たちにいま求められていることは、市民社会の側から、武器によらない平和への具体的な構想を提示し、議論を深めながら共有し、広げていくことだろう。この特集では、戦争の記憶を継承し、次世代に手渡していくために、市民社会・メディア・教育がいかなる役割を果たすべきなのかを考えたい。
★特集3 脱石油文明論