特集 最近増加しているアレルギー性皮膚炎
(馬場 直子 編集委員)
日本人の生活様式や食事内容の変化,医薬品の進歩などに伴い,皮膚科でみるアレルギー性皮膚疾患の原因や症状も,時代とともに変化している.
とくに,生物学的製剤や抗体製剤をはじめとする新薬による皮膚障害は増加の一途をたどっており,われわれは常に知識をアップデートしていく必要がある.また香粧品についても,若い世代のみならず,小児や高齢者においても使用頻度や種類が増え,それに伴う接触皮膚炎やアナフィラキシーの報告もまれではない.原因物質は広く複雑化しており,その特定は困難であるが,治療だけでなく,再発予防のためにも重要である.
今回は,「最近増加しているアレルギー性皮膚炎」をテーマに症例を集めてみた.
まず総説 1では,接触皮膚炎全体の20~25%を占めるという「医薬品による接触皮膚炎」の近年の傾向について概説いただいた.近年,喘息などの呼吸器疾患,認知症,慢性疼痛などに対する経皮吸収型治療薬が増えており,これらは局所の接触皮膚炎だけでなく,接触皮膚炎症候群を発症しうることも念頭に置くべきである.とくにフラジオマイシン硫酸塩はステロイド外用薬や眼科軟膏に含まれ,本邦では欧州諸国と比較して陽性率が高いとのことで,不要な抗菌薬の皮膚曝露や配合をなくす努力が必要と提言されている.
総説 2「金属アレルギーの診断と対応」では,パッチテストのポイント,術前パッチテストの意義や日常診療で活用できるスポットテスト,ニッケル規制について解説していただいた.感作されていることと実際にアレルギー症状を生じることは同義ではなく,パッチテストで陽性となった金属アレルゲンをただちに症状の原因と判断すべきではないとのことで,慎重な診断が求められる.
また,総説 3「香粧品によるアレルギー性接触皮膚炎アップデート」では,ヘアカラー剤・染毛剤,香料,防腐剤が主要な原因である一方,ジェルネイル用アクリル樹脂,酸化香料,美白関連成分,基剤成分など,多彩な新興アレルゲンによる発症が増加していると述べられている.「PPDフリー」「無添加」「天然由来」などの表示だけでは安全性を判断できず,製品名や表示ではなく個別成分に着目した回避指導が不可欠とのことである.
「臨床例」では,薬剤性として点眼薬中のアミノカプロン酸,歯科根管治療薬中のパラホルムアルデヒド,抗体製剤の抗がん薬エンホルツマブ ベドチン,OCT総合感冒薬中のアリルイソプロピルアセチル尿素,免疫チェックポイント阻害薬などによる,さまざまなタイプの薬疹を取り上げた.日用品および食材としては,ヘアブリーチ剤中の過硫酸塩,化粧品の着色料であるコチニールとカルミン,エラコ接触歴を有する納豆アレルギーなどを取り上げた.いずれも興味深い新規知見を含んでおり,日常診療のヒントになるのではないかと思う.