・物語では描かれるものの、人間には不可能であると考えられてきた「人工冬眠」。それがいま、生物学と医学の進展により現実の科学として姿を現しつつある。
・本特集では、体温管理療法(TTM)が抱える生理学的パラドックス、冬眠研究が示す新概念“能動的低代謝”、視床下部のQ神経による冬眠様状態の誘導、超音波刺激という非侵襲的アプローチなど、人工冬眠を再現可能・制御可能な“医療技術”として定義し、現代医療の限界を突破するロードマップを提示する。
・サルコペニアの予防や臓器の長期保存への応用可能性、そして人生に“一時停止期間”が挿入されたとき、死生観や社会制度はどう変わるべきか。哲学・医療倫理の専門家や作家を交えて議論する。
■人工冬眠がもたらす次世代医療に向き合う
・はじめに――人工冬眠研究の現在地と、その先にある問い
・体温管理療法から代謝制御療法へ――救急集中治療における休眠療法の応用展望
・冬眠がもたらす臨床応用の可能性
・経頭蓋超音波照射による生理機能制御――自由行動動物への冬眠様状態の誘導に向けて
・冬眠様状態を制御する中枢神経機構――低体温・低代謝を導く神経回路とその応用
・冬眠動物に学ぶ“衰えない筋肉”――低代謝状態による筋恒常性維持機構
・冷やしても死なない細胞の仕組み――冬眠哺乳類の低温耐性メカニズムの解明に向けて
・冬眠における時計遺伝子発現の再編成――シマリス肝臓にみる深冬眠-中途覚醒サイクルと末梢時計の部分再起動
・人工冬眠技術をめぐる哲学的論点の整理と、“同期”の崩壊について
・低体温・低代謝の人工的導入と医療倫理――いわゆる“人工冬眠”と倫理の接点
●【コラム】
・ 人工冬眠を描いたフィクション作品群の発展
●TOPICS 免疫学
・日本人COVID-19感染回復者で誘導・維持される強力なHLA-C拘束性キラーT細胞応答
●感染症内科学
・見逃してはいけないマダニの被害
●連載 医療にいかす行動経済学(25)
・日本における幸福/ウェルビーイングの現状と要因について――医療行動経済学への示唆
●知っておくと役に立つ!臨床医のための臨床検査医学講座(13)
・糖尿病代謝関連検査
●ネオ免疫学 生命進化に学ぶ免疫学のパラダイムシフト(2)
・自己と非自己の識別――タスマニアデビルの受難
●FORUM 分子生物学の臨床応用 “分子”から“疾患・患者”へ(12)
・ミトコンドリア病新規検査法の開発――包括的遺伝子検査からマルチオミクス診断への展開
本雑誌「医学のあゆみ」は、最新の医学情報を基礎・臨床の両面から幅広い視点で紹介する医学総合雑誌のパイオニア。わが国最大の情報量を誇る国内唯一の週刊医学専門学術誌、第一線の臨床医・研究者による企画・執筆により、常に時代を先取りした話題をいち早く提供し、他の医学ジャーナルの一次情報源ともなっている。