■質問するとSNSで叩かれる こんな社会に誰がした?
SNS上で渦巻く誹謗中傷や根拠のない虚偽情報の拡散は、個人の尊厳を傷つけるにとどまらず、言論の自由や民主主義の根幹たる「政治の熟議」をも脅かしている。今年2月の衆院選では、多くの候補者が不当なバッシ
ングに翻弄された。こうした事態が放置されれば、政治家が「炎上」を恐れて、国会質問で萎縮。政府の姿勢をただして国民への説明責任を果たさせる審議は空洞化しかねない。臨時国会を前にSNSの標的となった岩屋毅氏、岡田克也氏、杉尾秀哉氏の被害を例に政治家バッシングを考える。
●岩屋毅氏の場合
590万回の中傷にも「毅然と」
中澤雄大
岩屋毅衆院議員(前外相・大分3区)は、中国人向け訪日ビザ(査証)の緩和措置などに関するデマがSNS上で拡散し、猛烈な攻撃を受けた。自らの経験をもとに、「炎上」を恐れて萎縮する政界やメディアの課題、ネットによる巧妙な世論誘導の脅威について語る。
●枝野幸男氏が語る
岡田氏への中傷、「偽情報」拡散が問題
聞き手・まとめ/尾中香尚里
衆院予算委員会で高市早苗首相の「存立危機事態」答弁を引き出した岡田克也氏も、ネット上で誹謗中傷の標的になった。当時予算委員長を務めた枝野幸男前衆議院議員に、中傷のもとになったデマ拡散の経緯とSNS上の規制のあり方について聞いた。
●杉尾秀哉氏の場合
中傷画像・動画が拡散 抗議電話や殺害予告も
梅田千春
行政を監視し国会で質問することは議員の重要な仕事の一つだ。政府が聞いてほしくないことも聞き、間違いがあれば正す。それが機能しなければ民主政治とは言えない。だが、政権や大臣の疑惑について問いただす議員のほうがバッシングを受け、業務に支障が出ている。
●議員を黙らせる「同調圧力」
最終的に政府を監視する機会が奪われる
五野井郁夫
国会で議員が政府を追及すると、SNSで攻撃される――近年起きているこの行為をどう捉え、続くとどうなるのか。政治学者で民主主義の在り方にくわしい五野井郁夫・高千穂大学教授に寄稿してもらった。