まえがき 「はかなさ」と現代の芸術――ヴァニタスをめぐる三つの問い
……………香川 檀
序 論 現代芸術におけるヴァニタスの回帰――西洋/非西洋、交差するまなざし(抄訳)
……………ヴィクトリア・フォン・フレミング(訳 香川檀)
一、西洋と日本の「はかなさ」
二、ヴァニタスのセルフポートレイト
三、グローバル・サウスのヴァニタス
四、ヨーロッパのヴァニタスと日本の〈はかなさ〉の融合
第Ⅰ部 現代のヴァニタス―生死と時間の戯れ
第1章 杉本博司の死生観とヴァニタスの美学――《ヘンリー八世》をめぐる表象の歴史
……………仲間裕子
はじめに
一、「ジオラマ」をめぐる死生観
二、「蝋人形館」から「ポートレート」へ
三、ヴァニタスの美学と「肖像画」
四、杉本博司の《ヘンリー八世》とハンス・ホルバイン(子)のヴァニタス表象
五、「ポートレート」《ヘンリー八世》―仮面と死、永遠性の表象
結
第2章 草間彌生とヴァニタス―〈花/女性〉と死をめぐって
……………石田圭子
はじめに――草間彌生とヴァニタス
一、自画像としての花
二、女性自身のメタファーとしての花
三、性と死――抑圧の内面化と「自己消滅」
四、死とはかなさを超えて――女性の〈生/性〉の肯定
おわりに――「ヴァニタス」というテーマと女性アーティスト
第3章 ジャン・ティンゲリー――ヴァニタス、そしてエフェメラの芸術(抄訳)
……………ヴィクトリア・フォン・フレミング(訳 香川 檀)
一、素材およびメディウムの図像学
二、エフェメラルなもの――ヴァニタスなきバロック?
三、生の車輪と死の舞踏
四、フォーミュラⅠと大量虐殺
第4章 生死のはざまのヘテロ・クロニカルな実験――時間管理に対するヴァニタスの反乱(抄訳)
……………ミーケ・バル(訳 岡添瑠子)
はじめに
一、マルレーネ・デュマスの頭蓋骨――生者たちの顔
二、動く静止画――ジャネット・クリステンセンによる時間の断片
三、ナリニ・マラニ――緊急性としてのヴァニタス
四、頭蓋骨の内部――マヤ・ワタナベの共感的――政治的な死のヴィジョン
第Ⅱ部 メディウムが担うはかなさ――写真とビデオ
第5章 終わりと飛び去り――髑髏、昆虫、そして現代写真におけるヴァニタスのふたつの時間性
……………カタリーナ・ズュコラ(訳 結城 円)
一、人間のはかなさの記号としての頭蓋骨――その歴史的な(再)コード化
二、飛び去り/蠅、あるいは生きている存在のはかなさ
三、一時的な出会い――蠅と頭蓋骨
第6章 畠山直哉の写真における川の表象――〈無常〉をめぐる一考察
……………鈴木賢子
はじめに
一、気仙川のほとりのクルミの木
二、うつろう世界と写真が捉えるもの
三、漂うまなざし
四、写真と〈無常〉
結び
第7章 写真の間文化的な時間性――荒木経惟『TOMBEAU TOKYO』におけるヴァニタスと無常
……………結城 円
はじめに
一、花と女性身体に投影されるヴァニタスと無常
二、写真メディアにおける時間性
むすび
第8章 ビデオアートにおけるヴァニタス静物画――バロックのモチーフとその時間性について
……………クラウディア・ベンティーン
ユリア・カテリーネ・ベルガー
(訳 石田圭子)
一、静物に生命を吹き込む――暗示から断片化へ
二、クイックモーション――メディアによって衰退を加速させる
三、ループの使用――生成と消滅の永遠なる循環
四、「本当の時間」という感覚――生成されるヴァニタス
第Ⅲ部 ヴァニタスの変奏――神話と社会
第9章 「居場所」のはかなさ――イケムラレイコの描く“妣の国”と死
……………香川 檀
はじめに
一、少女と「うみのこ」
二、母のいる風景――「コスミックスケープ」
三、ヴァニタス・モチーフとしての花・骨・亡骸
四、妣の国/常世(常夜)の国
むすびに
第10章 古代の残存と、バロック的時間経験の形象――サイ・トゥオンブリー作品のオルフェウス主題について
……………アンネ・オイスターシュルテ(訳 鈴木賢子)
はじめに
一、失われた古代?
二、「うつろい」の文字
三、オルフェウス
四、文字の時
五、オルフェウスのヴェール――不滅の残響
第11章 ゴミの化石を作るとき――三島喜美代の作品における物質と時間性
……………マーレン・ゴツィック
はじめに
一、ゴミとしての情報
二、巨大化するゴミ、巨大化するアート
三、理解不可能となった過去
四、現代的ヴァニタスとしての三島の作品制作
おわりに
第12章 はかなさの永遠性?――美術館における「エフェメラル」な作品の保存修復について
……………カロリン・ボールマン(訳 仲間裕子)
あとがき……………結城 円