はじめに
序 章
第一節 歴史と政治の緊張関係
(1) 歴史から教訓を導く
①記憶研究の発展
②歴史の政治/記憶政治、「歴史政策」
(2) 西ドイツの「過去の克服」と歴史政策
第二節 歴史を教訓とした民主主義の模索
(1) 民主主義とは何か
(2) 「成功史」叙述からの脱却
第三節 ポストナチズムと東西冷戦下の帰属意識
(1) グスタフ・ハイネマンへの着目
①「成功史」の象徴として
②先行研究の課題
(2) 連邦大統領とはどのような存在か
①連邦大統領の役割
②大統領演説
(3) 本書の目的
第四節 史料状況と本書の構成
第1章 グスタフ・W・ハイネマン
第一節 帝政期からヴァイマル共和国成立まで
(1) 自由主義的、反君主的な生育環境
(2) 第一次世界大戦の勃発
(3) 第一次世界大戦敗戦とヴァイマル共和国成立
第二節 ヴァイマル共和国崩壊とナチ時代
(1) ヴァイマル共和政・議会制民主主義の擁護
(2) 政党政治への失望と活動領域の変化
(3) ナチ体制下の活動
第三節 終戦と占領、連邦共和国の成立
(1) 地方政治家としての出発
(2) 紆余曲折の政治遍歴
(3) 戦後初期のハイネマンの問題意識
①「戦う民主主義」の理念
②分断国家の克服と緊張緩和
第2章 「第二の建国期」ブラント政権とハイネマン大統領
第一節 西ドイツ変容の象徴?
(1) 改革者としてのハイネマン
①刑法改革と緊急事態法案
②急進化した学生運動に対して
(2) 連邦大統領選挙(一九六九年三月)
①社会民主党内候補の選出
②シュレーダー対ハイネマン
(3) 連邦大統領選出をめぐる評価
第二節 連邦大統領就任演説
(1) 国外の課題――平和の構築
(2) 国内の課題――国民の意識の変化
第三節 ブラント政権の改革のなかで
(1) 近隣諸国との関係改善
①ナチズムの過去との決別
②外国への公式訪問を通じて
(2) 「もっと民主主義を!」と国民の意識
①民主主義理解に関する議論とハイネマンの理解
②国家との関係、国民の責任意識
第3章 分断ドイツの歴史政策――国民統合とドイツ帝国/一八四八年革命
第一節 ドイツ帝国創建一〇〇周年の公的記念行事
(1) ベルリンの歴史展示「一八七一年――ドイツ史への問い」(一九七一年)
①企画と概要
②展示の構成と意図
(2) 帝国創建一〇〇周年記念演説
①演説の経緯と内容
②構想に協力した歴史家との認識の違い
第二節 演説の反響と「西ドイツ」「西ドイツ国民」をめぐる議論
(1) 記念演説の反響の概要
①批判的な反応
②肯定的な反応
(2) 東方政策との関係で
①野党政治家によるハイネマン演説批判
②「暫定国家」との決別?
第三節 ハイネマンにとっての分断国家の現状
(1) 分断の克服を求める過剰なナショナリズムの克服
(2) 連邦共和国への積極的な評価と東ドイツとの新たな関係性
第4章 一八四八年革命のなかに見出された理想の民主主義――政治教育のための歴史政策
第一節 民主主義に資する歴史政策
(1) 民主主義の現状に関する課題
(2) ドイツの民主主義の伝統
①自由を求める運動への着目
②基本法の価値の社会的浸透
(3) 同時代の反応
①現在の正当化に対する批判
②歴史家による期待
第二節 歴史政策の各地域での展開
(1) 「ラシュタット想起の場」
①企画
②展示の内容
③反響とその後
(2) 歴史論文コンクール「グスタフ・ハイネマン賞」
①コンクールの創設と概要
②反響とその後
第三節 民主主義の新たな段階における「憲法の敵」の線引き
(1) 若い世代への懸念と期待
(2) 基本法秩序を支える「戦う民主主義者」
終 章
歴史を教訓とした民主主義の構想
ポストナチズムと東西冷戦下の帰属意識
歴史と政治の緊張関係――歴史政策の功罪
あとがき
注
史料・参考文献