アズキとナンキン 1

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    商品説明
    圷先生の緻密な心理描写は、こちらの居心地を悪くするほど鋭く真っ直ぐだ。
    その苦しいほどに真摯に、目の前にいる人たちと向き合い続ける姿は、なんて眩しく美しいんだろう。
    ―――谷口菜津子『じゃあ、あんたが作ってみろよ(ぶんか社刊)』『まめとむぎ(双葉社刊)』

    ====

    2022年、春。冬野至(ふゆのいたる)の伯母が亡くなった――。

    葬儀の席で、母を亡くしたばかりの娘のあずさは、戸惑いながらも家族としての役割を果たそうとしていた。
    慣れない喪服の生地が背中に擦れて気になり、落ち着かない様子で何度も背中に手を伸ばしてしまう。
    焼香の手つきもどこかぎこちない。
    式が無事に終わり、親戚たちに囲まれた精進落としの席につくと、今度は次々と慰めの声をかけられるのだった。


    「大丈夫?」
    「急なことで大変ね」
    「田舎で祖母ちゃんと一緒に暮らさない?」

    心配から生まれた言葉のひとつひとつが、あずさの心を追いつめていく。
    そんな彼女を見た至は、

    「僕が、あずさちゃんの家に下宿します」

    彼女を、この息苦しい状況から少しでも救うため。
    ――けれど、それだけが理由ではなかった。

    至自身もまた、美大への進学に反対する父親から離れるため、実家を出ようとしていた。
    家を出られるのなら、住む場所はどこでもよかった。
    こうして東京の街で、いとこ同士のふたり暮らしが始まった。

    「生きづらさ」を抱える、すべての人へ。
    心に絡みついたものを、そっとほどいていく――。
    これは、心の居場所を描いたヒューマンドラマ。
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