古来より人の世の裏側でひっそりと存在してきた『モノ』――妖怪、あやかし、魔物、幻想生物。
彼らはある日、表舞台に現れ、人の世に宣言した。
最新の怪異にして神秘、『ダンジョン』をきみたちに提供しよう、と。
人々はダンジョンに富を、名声を、熱狂を、新技術を求め、世は探索者の時代を迎えることになる。
……それから20年。
平安時代から続く退魔師の家系にして今はダンジョン探索協会の重鎮、中倉橋の家に生まれた少年・或は、霊力もなければダンジョン適性も持たない無能者だった。
彼は本家の人間から冷遇され、父の手により実家から追放される。それでも探索者の道を諦めきれず養成学校に通っていた或はある日、クラスメイトに陥れられ、ダンジョンの崖から落とされてしまう。
だが穴に落ちた先、闇の中で待ち受けていたのは狐耳の少女。
かつて九尾の狐たる大妖怪だった、成れの果てだという。
「ずっと、ずうっと待っていました。あたしをこの牢獄から、連れ出してくれるひと……」
彼女は『ヤコ』と名乗り、或の使い魔になりたいと申し出る。
生死の境にあった或に断る理由はなかった。彼は彼女と契約を交わすことにより、霊力とダンジョン適性を得る。
「……ところで、なんで地雷系ファッションなの?」
「これが当世における傾城傾国の装いだと聞きましたので!」
「(なんか地雷系のこと勘違いしてるっぽいけどまあいいや)……じゃあ行こうか、ふたりで」
「はいぃ、旦那さまっ!」
実家から追放され、学校にも居場所のなかった或。
闇の中に封じられ、ずっとひとりきりで過ごしていたヤコ。
努力家の(ぼっちで他にやることがなかった)少年と、(封印生活をこじらせた結果の)地雷系ヤンデレ狐――ふたりの逆襲が始まる!