「そんなに簡単に人は消えないのよ」とユミヨシさんは噛んで含めるように言った。「君は知らないんだ」と僕は言った。「この世界ではなんでも起こりうるんだよ。なんでも」失われた心の震えを回復するために、「僕」は様々な喪失と絶望の世界を通りぬけていく。渋谷の雑踏から、ホノルルのダウンタウンまで。そこではあらゆることが起こりうるのだ。羊男、美少女、娼婦、片腕の詩人、映画スター、そして幾つかの殺人。華麗にそしてハードに、運命はそのステップを踏みつづける。ダンス・ダンス・ダンス。作家デビュー、10年目。新しい成熟に向かうムラカミ・ワールド。