第24回 開高健ノンフィクション賞受賞作
「世界を損なったのが人間なら、それをひっくり返すのもまた人間なのだ」
気候変動、文化継承の危機、近現代の残酷な歴史……。
私たちの前に立ちはだかる現実を直視しつつ、それでもそこに希望を見出す、現代人必読の書!
【あらすじ】
導かれるようにカナダ西海岸に浮かぶ群島へ移住した著者。そこで出会ったのは、一万年以上その地に暮らす海洋先住民ハイダだった。彼らの伝統的な儀式や儀礼、そして言語に魅了される一方で、植民地主義の壮絶なトラウマに苦悩する、先住民コミュニティの影の側面も次第に明らかになる。絶え間ない弾圧の中、祖先から受け継いだ土地や文化との繋がりを取り戻そうとする海の民たち。彼らの主権と尊厳をかけた闘いを目の当たりにする中で、著者自身にもある変化が生まれ……。
【史上最年少! 満票!】
恐るべき力を湛えた書き手の誕生を確かに告げる号砲であり、記念すべき作品となった。
──加藤陽子 (東京大学名誉教授・歴史学者)
まだ二〇代後半の若者が、近代という収奪の歴史を詩情豊かに描くことが出来るとは、思ってもみなかった。
──姜尚中 (政治学者)
「心の難民」たる現代の日本人が自身の内に潜む暴力性を見つめ直し、均質化・標準化しようとする強大な力に抗するためにも、多くの示唆を与えるはずだ。
──藤沢 周 (作家)
開高賞はとてつもない新人を発掘したかもしれない。
──堀川惠子 (ノンフィクション作家)
問題提起も鋭いし、文章は圧倒的に巧みだ。
──森 達也 (映画監督・作家)
(五十音順・選考委員選評より)
【著者プロフィール】
上村幸平(うえむら・こうへい)
1998年生まれ。大阪府茨木市出身。カナダ・ブリティッシュコロンビア州在住。早稲田大学法学部で国際人道法・ジャーナリズムについて学ぶ。卒業後の2023年にカナダ西海岸の群島・ハイダグワイに移住。現地のNPOで先住民福祉に携わる傍ら、島での釣り、シーカヤック、狩猟採集や先住民ハイダとの交流を通して、人間と土地、生物間の繋がりについて考えている。