落語の真打が描く、人生に効く連作人情譚
銭湯の店主を務める康太は、薪用の廃材の中に文字が彫られた板を見つけた。燃やすにはしのびなく、釜にはくべなかった。休憩時間に布団に入ると、目の前に男が現れる。板は「招木」と言い、彫られていたのは男の名前だという。今昔亭志ん里、落語家。勝手に表れた上に人付き合いが苦手なことまで言い当てられ面倒に思うが、聞かせてくれた「蒟蒻問答」に引き込まれた。その晩、再び現れた志ん里に問われるがまま、康太は家族や友人、いまの仕事、心の中を洗いざらい話す──。
招木、羽織、風呂敷、燗鍋、古道具を手にした者の枕元に、夢か現か噺家が現れる。今昔亭志ん里、没年50歳。成仏できずに彷徨う男の一席が、悩める人生に小さな奇跡を起こす! 真打が描く、笑って泣ける連作人情譚。
【編集担当からのおすすめ情報】
落語漫画がアニメ化されるなど、落語がにわかに流行りだしています。落語に馴染みがない人にこそオススメしたい小説です。