弟の直貴を大学へ行かせたい。その金を得ようとして強盗に入り、人を殺した兄・剛志。
その服役中の剛志から、直貴へ月に一度、手紙が届く。
刑務所での暮らし。弟の身を案じる言葉。兄は変わらず、直貴のことを思っている。
だが、直貴の生活は事件によって一変した。進学をあきらめ、働き始める。音楽に夢中になり、仲間ができる。好きな女性もできる。新しい生活を始めるたび、直貴は願う。今度こそ、普通に生きたい。
ところが、兄が強盗殺人犯だと知られると、人々の態度が変わる。
人を殺したのは兄だ。自分ではない。
それなのに、なぜ自分まで――。
やがて直貴は、刑務所から届く手紙さえ疎ましく思うようになる。兄を捨てれば、自分の人生を取り戻せるのか。
弟のために罪を犯し、いまも弟を思って手紙を書き続ける兄。その兄とのつながりを断ち切らなければ、生きていけない弟。
自分なら、この兄を捨てられるだろうか。
文春文庫累計274万部突破。東野圭吾の全文庫作品中、最大部数を誇るロングセラー。
山田孝之主演で映画化、亀梨和也主演でテレビドラマ化。舞台・ミュージカルでも上演を重ね、2025年「東野圭吾 104冊・1億部 全国民投票」第3位。世代を超えて読み継がれる、東野圭吾の代表作。