ある夜、ひとりの女が、児童養護施設の門前に赤ん坊を置き去りにした。籠には着替えと毛布、そして手作りの人形。女は赤ん坊に最後の授乳をすると、その場を立ち去った。
それから50年近くが過ぎる。
南房総沖で、男の銃殺死体が発見された。被害者は上辻亮太。ところが、上辻の行方不明届を出していた同居女性・島内園香も姿を消していた。
園香の部屋には、一体の古い手作り人形が残されていた。ブルーとピンクの縞柄のセーターを着たその人形を、園香は「母の形見」と呼んでいた。
警視庁捜査一課の草薙俊平と内海薫が上辻と園香の足取りを追ううち、園香をめぐる2人の年長女性が浮かび上がる。ひとりは謎の多い老女、もうひとりは銀座のクラブママ・根岸秀美。
さらに草薙は、捜査の過程で友人で物理学者の湯川学が横須賀で暮らしていることを知る。久しぶりに会いに行った草薙は、そこで思いがけない湯川の姿を見る。
殺された男。消えた女。残された人形。2人の年長女性…捜査はやがて、湯川学が長年、友人にも語らなかった「秘密」に触れていく――。
シリーズ累計1710万部突破。
福山雅治主演で連続ドラマ、スペシャルドラマ、映画へと展開してきた「ガリレオ」シリーズ。最新長編『永遠の記憶』へと続く最新文庫。
湯川学が新たな謎に挑む短篇「重命る(かさなる)」を特別収録。