日本のインフラが転換点を迎えています。高度経済成長期に急速に整備され、日本の経済成長と人々の豊かな暮らしの基盤となったインフラは、今や老朽化が進み、少子高齢化をはじめ様々な社会課題にも直面。もはや、ヒト(担い手不足)・モノ(施設の老朽化)・カネ(資金制約)の面で、日本のインフラを現状のまま維持して行くことは非常に難しい状況にあります。
一方で、デジタル社会の到来により多様な働き方や暮らし方が実現するとともに、個人がその個性を発揮しながら活躍できる社会へと変貌を遂げつつあります。こうした点も踏まえると、今後の日本のインフラはこれまでの施設やシステムをただ維持更新していくのみならず、社会の変化に合わせて「次世代化」させていく必要があります。
では、次世代化とは具体的にどのような形を指すのか――。もちろん、インフラは壮大なテーマだけに正解を導くことは容易ではありませんが、本書では一つのヒントとして「集中型インフラと分散型インフラの統合」を提案します。集中型インフラは多数の利用者向けの大規模な施設・サービスで、従来の火力発電や原子力発電、公共交通、上下水道など。これに対して分散型インフラは少数の利用者を対象とする小規模な施設・サービスで、太陽光発電やカーシェアリング、水処理システムなどが相当します。すなわち、前者の集中型インフラを後者の分散型インフラで補完する形が、今後の日本のインフラを考えていく上で重要なヒントになると考えます。
しかも、この形はライフスタイルの多様化、社会のデジタル化、そして事業モデルの多様化とも親和性が高く、多くのビジネスチャンスをもたらす可能性があります。実際、新しいインフラサービスやデジタル技術の導入余地は大きく、インフラ業界への新規参入者や投資家にとって有望な市場と見ることができます。もちろん、この変化は既存の大手インフラ事業者や行政にとっても望ましい変化といえるでしょう。
本書は、こうした日本のインフラを取り巻く危機や環境を整理した上で、その将来像について提案を行います。そこには様々な事業機会が潜んでおり、業界問わず多くのビジネスマン必読の内容です。