「あの女は肉体を武器にしてあなたを篭絡したのよ」
マディは6年ぶりに帰郷した。かつて愛したコールの子を連れて。
名家の御曹司コールと結ばれることは、かなわぬ夢だった。
あの日、急な事情で町を飛び出したマディは、やがて妊娠に気づき
コールに手紙を書いた。だが、返事はこなかった――。
マディが帰ってきた。僕を捨て、母親の愛人と姿を消した恋人が。
あんな女をまだ忘れられないとは、どうかしている!
我知らず足は、昔二人が秘密の逢瀬を重ねた淵へと向かう。
そこには先客がいた。マディ! 菫色の瞳は、悲しげに彼を見た。