「背徳」や「やってはいけないこと」の境界線は絶対的なものではなく、時代や社会によって任意に引かれている非常にあいまいなものです。これまでルールを破る行為は、個人の性格や資質の問題として片づけられがちでした。しかし、特別な悪人だけでなくごく普通に暮らす善良な人であっても、ふとした瞬間に魔が差したように一線を越えてしまうのが人間のリアルな姿です。
本書は、こうした「背徳」や「逸脱」を常識という物差しで安易に裁くことはしません。その代わりに、人間が何を基準に悪を判断し、悪いことだと知りながらなぜその境界線を越えてしまうのかという心のメカニズムを解き明かします。背徳的な行動がどのような心理的・環境的要因によって引き起こされるのか、科学的なアプローチから理解することが本書の最大の目的です。