外見からは把握できない遺伝的情報は、DNA分析技術を用いた生態学的研究「分子生態学」を用いることで、目に見える明快な情報として示せるようになった。クローン識別、親子特定、集団内の遺伝的多様性、集団間の遺伝的関係、雑種や隠蔽種の特定、種間関係の解析のすべてについて、客観性のある科学的データとして見ることができるようになっている。
本書では分子生態学について、試料採取計画の立て方、試料採取方法、筆者らが開発した「MIG-seq法(multiplexed ISSR genotyping by sequencing)」による分析手法、さらには個体、親子、集団、種という異なる生物学的階層の研究方法まで、具体的な留意事項や研究事例を踏まえて丁寧に解説する。特に「MIG-seq法」については、2026年発表の「MIG-seq2」と名付けられた最新バージョンにも言及している。
少しでも多くの研究者・学生の方々に、より適切に、より抵抗なく、より楽しみながら、この分野の研究に取り組んでいただきたいという一心で、これまでに蓄積してきたノウハウを余すところなく盛り込みまとめあげた、筆者渾身の一冊。