本書は流体運動,特に「渦」と呼ばれる構造に注目して,その運動の解析に必要な数学的基礎を基本的なところから解説すると同時に,著者がこれまで行ってきた渦運動に関連するさまざまな研究結果の紹介を通じて,流体運動の背後に潜む数学的問題の面白さを伝えるためにかかれたものである。
数学を専門としない理系の研究者には,流体運動の数学解析・数値解析によって明らかにされる渦運動の数学的側面の深さと広さを伝えることに努めた。またこれから数理流体力学を学ぼうとする理工系の学部生・大学院生に対してはセミナーや自学自習にも十分用いられるよう,いくつかの章はかなり基本的なことから丁寧に記述しており,数理流体力学の入門書としても利用できる。
また,生命流体現象や環境流体現象にも適用が可能な多重連結領域の渦力学に関する記述は,日本語でかかれた最初のものであり,数理流体の専門家にとっても参考書として利用できるようになっている。