本書は、何世紀にもわたり数学のアマチュアから専門家まで幅広く魅了してきた「フィボナッチ数」と「リュカ数」について、49章にわたってその驚異的な性質の数々を余すところなく解説した書籍である。
下巻にあたる本書では、上巻で身に着けたパターン認識、推測、証明技術の応用などのスキルやテクニックを駆使し、フィボナッチ数・リュカ数に関する議論を更に発展させていく。
本書では、フィボナッチ、リュカ、ペル、ペル-リュカ、ヤコブスタール、ヤコブスタール-リュカ、ヴィエタ、ヴィエタ-リュカ、チェビシェフ多項式を含む、拡張ギボナッチ族への発展的なアプローチの紹介を最終的な目標としている。
上巻に引き続き、歴史的な調査についても引き続き加えることで「魅惑的な数」の壮大な物語に躍動感を与えている。
本書では、フィボナッチ数・リュカ数研究の中でも、ここ100年以内で発表されたような比較的新しい内容が数多く取り上げられており、全体として魅力的で独創的なアプローチがとられている。
学部上級生や大学院生、自主研究チームによる共同研究やグループディスカッション、セミナー、プレゼンテーションのための題材ともなり得る内容も豊富に用意されており、本書で扱われているトピックは、きっと知的好奇心、創造性、創意工夫を搔き立ててくれるだろう。
また、学部生、大学院生の論文執筆にとっても貴重な資料となるだろう。数学を初めとする全ての自然科学系の専門家だけでなく、好奇心旺盛なアマチュアにとっても歓迎すべき一冊である。
[原著]Fibonacci and Lucas Numbers with Applications, 2nd Edition, Vol.2, Wiley, 2018