本書では、生活支援ロボット(「人の生活空間で役立つロボット」を主題とした、人とコミュニケーションを取りながら、移動し、物を認識し、操作し、生活を支援するロボット)を構成する主要な技術として、音声認識・音声合成、ビジョン、ナビゲーション、マニピュレーションといった要素技術を取り上げ、それらをどのように統合して一つのロボットシステムとして動作させるのかを解説する。生活支援ロボットのプラットフォームとしては、Preferred Robotics社が開発したAI家具ロボット「kachaka」を採用する。kachakaは家庭環境において優れた移動性能を有し、2025年のロボカップジャパンオープン@ホームリーグではこれを用いた「カチャカチャレンジ」として競技が実施された。本書では、このkachakaを用いた実践的な大会参加事例も紹介する。
本書は、全体を通してロボットミドルウェアROSとプログラミング言語Pythonを用いて解説する。さらに、GitHubによるサンプルコードの公開により、読者が実際に手を動かしながら学べる構成となっている。各章では、実装に必要な最低限の理論的背景にも触れ、生成AI技術の活用についても紹介している。
生活支援ロボットのハードウェアとソフトウェアを統合した実ロボットシステムについて解説する本邦初の書籍であり、kachakaを用いた実装書としても初めてのものである。kachakaを開発するPreferred RoboticsのCTOが執筆者として自ら解説している点も大きな特徴である。
なお、本書は、Ubuntuを用いたソフトウェア開発の基礎的なスキルと、Pythonによるプログラミングをある程度使いこなせることを想定している。
本書が、これから生活支援ロボットの開発に挑戦したい学生・研究者・エンジニアにとっての一助となり、そしてロボカップジャパンオープン@ホームオープンプラットフォームへの参加を後押しする一冊となれば、と願っています。