掌の美術論

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商品説明
身体を通して、世界に触れ、世界と戯れ、世界を模倣し、そして世界とずれていく。そのずれの中にこそ、芸術の可能性は宿っている。

遊びが手触りや感覚を頼りに新たなゲームや楽しさを創造し、ときに新しい認識や価値を開いていくように、触覚を軸にした鑑賞の方法を提示する。触覚に関わる美術史を整理したうえでフェミニズムや歴史・記憶と芸術作品の関係など、現代的な問題意識を織り込んだ作品解説を通し、触覚と想像力が拓く遊戯場としての美術史を紡ぎだす。
目次

プロローグ 芸術の触知(不)可能性

第1章 自由な手
 自己言及的な手──どこまでが「私」なの?
 常軌を逸した手──「私」でなくなるほどに
 心のパントマイム──完全な模倣の困難さゆえ
 機械的な手──無意識を模造する
 建設者の手──目の中のコンパスと掌のコンパス

第2章 美術史家の手
 バクサンドール──時代の目、あるいは時代の身体
 ヴェルフリン──線に触れる美術史家の手
 ヘルダー──子供部屋から展示室へ
 ベレンソン──触覚的な想像力に導かれる手
 ヒルデブラント──表象された身振りへの同調
 リーグル──表面を撫でる美術史家の手

第3章 絵に触れる
 クールベに触れる──グリーンバーグを介して
 自然に触れる──クールベを介して
 視覚と触覚のパラゴーネ──美術作品における「盲目」の系譜
 セザンヌの時間に身を浸す──モリスの《盲目の時間》を介して

第4章 嘘から懐疑へ
 装う絵画──化粧術と視覚文化
 読めない絵を楽しむには?──キュビスムの楽器の奏で方
 過去の身振りへの共震──時をなぞる身体
 手を握り返す──喪失に直面してもなお

第5章 ユートピアで遊ぶ
 未来派における感覚のユートピア──「触覚主義」とイデオロギー
 ピカソのユートピアと「貧しき者の玩具」──死を内蔵する遊戯場
 聖なるものと戯れる──ホイジンガを介して
 遊戯場から玩具箱へ──シャステルとアガンベンを介して
 昔の玩具箱を開く──デ・キリコを介して
 墓穴を開く──ジャコメッティを介して

第6章 彼女たちの顔に触れる
 メアリー・カサット──「女らしさの継承」を超えて
 マリー・ローランサン──鏡の部屋の女たち
 クロード・カーアン──変幻自在のナルキッソス
 仮面の真正性──この身体は誰のもの?
 水差しを傾ける――シンプソンとフックスの手で

第7章 仕事中を演じる
 労働者の仮面をかぶる芸術家、美術史家を演じる批評家
 芸術と産業──芸術が純粋だった「クソやばい日々」
 起源と戯れる──老成した子供のような大人の手で

エピローグ 美術史家の「遊び」の区切り/句切れ

あとがき 
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