信心深かった当時の人びとにとって、死後の自分の霊魂の救済は重大な関心事だった。
その救済を人びとはカトリック教に求めたが、その教団こそが魔女妄想を社会に流布させ、各地に異端審問官を派遣して、できるかぎり多くの〈魔女〉を探し出して、極刑に処するという犯罪に関与した本家本元なのだった。もっとも、新しく創設されたプロテスタント教という新教も、カトリック教と変わるところなど何らなかった。
民衆の要求に応えるかたちで、魔女迫害はだんだん国家機関が直々に遂行するようになった。
当時の基準からしても不公正極まりない裁判の過程で被告人たちは―その圧倒的多数は女性―死罪を免れることがほとんど不可能な状態にあった。犯罪者という濡れ衣を着せられた被告人は、拷問によって共犯者の名を白状するよう強要され、ときには民衆の一団がこぞって犯人に仕立て上げられるような顛末もあった。
カトリック教が「布教」の名のもとにおいて世界各地で繰り広げた蛮行のひとつ、「魔女迫害」の犯罪性と、その非人間性を暴く。
近代民主主義体制の基本である「政教分離」が現在も不徹底な日本社会への警鐘でもある。