• 発売日:2025/12/05
  • 出版社:創元社
  • ISBN:9784422220499

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江戸幕府の官撰地図事業

江戸幕府の官撰地図事業

通常価格 30,800 円(税込)
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商品説明
 わが国古来の「国」を単位にして描かれた巨大な手書き絵図が各地に現存し、その大きさ、美しい彩色と裏張りを施した重厚さによって、観る者に威圧感さえ与えている。これらは江戸幕府の命令で諸国の大名らが作成して将軍へ上呈したもので、「国絵図」と呼ばれる。
 国絵図の一部は、幕府文庫を引き継ぐ国立公文書館の内閣文庫に今も伝存し、国の重要文化財に指定されている。他方、諸国大名の国許には、幕府へ上呈した国絵図の控ないしは写、あるいは幕府担当者へ下調べを願い出た窺絵図、そのほか作成過程にてつくられた下絵図などが少なからず残されている。
 江戸幕府は治世260余年のうちに、国絵図を数次にわたって作成し、最終的には諸国の国絵図に基づいて日本総図を作りあげていた。全国68ヵ国の国絵図と巨大な日本総図は幕府の文庫に収納され、年暦を経て古くなると改訂が重ねられた。
 初回の慶長度の国絵図においては縮尺が統一されていなかったが、2回目の正保度以降は幕府の指示により統一した縮尺で作成されている。国絵図の縮尺は近代地図の縮尺ではないが、現代の縮尺値に換算すれば2万1600分の1に相当する。
 今日、全国をおおう一番大きい縮尺の地図は、国土地理院の2万5000分の1の地形図であるが、すでに17世紀のはじめ以来、現在われわれが持っている国土基本図よりもひと回り大きい縮尺の地図をもって、全国土を網羅していたという事実は驚きに値しよう。
 わが国では伊能忠敬より200年も前の江戸幕府創設の当初より、はやくも大型でかなり優れた日本全図が作成されていて、その後も伊能図の成立に至るまで改訂されつづけていたのである。伊能図ができる前に江戸幕府が作成した日本総図は全国の国絵図をつないで編集したものであった。伊能忠敬は幕府の命令をうけて日本の海岸筋と主要な道筋を測量してまわったが、この実測日本全図の作成においても既存の幕府国絵図が利用されていた。このような巨大な国ごとの絵図や日本全図を江戸幕府はどのような目的、いかなる方法で作成したのであろうか。
 本書は、世界史的にも稀な江戸幕府による巨大地図編纂事業の全容解明に取り組んだ著者の60年におよぶ研究の一大成果である。
目次
序 巨大な極彩色絵図の存在

第1部 官庫への国絵図収納
第1章 西日本にのみ現存する慶長国絵図
第2章 寛永十年巡見使の集めた国絵図
第3章 規格の統一をみた正保国絵図
第4章 純粋な国郡図になった元禄国絵図
第5章 変質した天保国絵図
第6章 幕府文庫国絵図の保管と利用
第7章 新政府に継承された明治国絵図

第2部 江戸幕府が編んだ日本総図
第1章 江戸初期日本総図研究の展開
第2章 江戸初期日本総図研究の総括
第3章 正保日本図
第4章 元禄日本図
第5章 享保日本図
第6章 大日本沿海輿地全図

終章 江戸幕府撰日本総図のまとめ

あとがき――伊能図以後

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