〈巣とねぐらは、森の動物たちの安全地帯〉
森を歩いていると、地面にあいた小さな穴、
木の幹のうろ、枝の間に積み重なった葉、
草むらにできた浅いくぼみに出会うことがあります。
それらは、動物たちが暮らし、眠り、
子どもを育てるためにつくった「すみか」の痕跡です。
住人の姿が見えなくても、入り口の形や巣材、
周囲に残された足跡や毛、うんちを調べれば、
「誰が・いつ・どのように使っていたのか」を、
探偵のように推理できます。
本書『森の落としもの図鑑5 巣とねぐら』は、
動物たちの巣、ねぐら、産座、
休み場に焦点をあてた図鑑です。
ひとくちに「すみか」といっても、
その役割はさまざま。長く暮らし、
子育てをする巣もあれば、夜を安全に過ごすねぐら、
出産のためだけにつくる産座、
数時間だけ体を休める休み場もあります。
地下、岩のすき間、地上、樹上と、
動物たちはそれぞれの体や
暮らし方に合った場所を選んでいるのです。
監修は、長年フィールドワークを続けてきた
動物学者・今泉忠明先生。
実際の森で撮影した写真や調査記録とともに、
すみかの見つけ方や、入り口の大きさ、
場所、巣材などから住人を読み解く
科学的な見方を紹介します。
絵は、犬や猫のファンタジックな世界を
描き続けてきた松井雄功さん。
地面の下に広がるトンネルや、木のうろの内部、
そこで眠り、子どもを育てる動物たちの姿を、
細やかで美しいイラストでわかりやすく図解します。
ページをめくるごとに、
森が動物たちの家々が立ち並ぶ、
大きな集合住宅のように見えてくるはずです。
親子で楽しむ自然観察入門としても、
大人がじっくり読み込む
フィールドガイドとしても役立つ一冊。
本書を片手に、ぜひ森へ。
巣とねぐらから、動物たちの
知られざる暮らしをのぞいてみてください。
■「シリーズ 森の落としもの図鑑」
1 足跡
2 食べ痕
3 うんち
4 動物のサイン
5 巣とねぐら
6 骨と歯