片岡弥吉氏は1908年、長崎の潜伏キリシタンの家に生まれ、幼少期から自然にキリシタン史への関心を深めていった。彼の処女作『高山右近大夫長房傳』は1936(昭和11)年に出版されたが、これはキリシタン大名の中でもとくに異彩を放つ高山右近を扱った作品である。
しかし、日本では禁教令以後、キリシタンに関する歴史は徹底的に抹消され、右近に関する国内資料はほとんど残されていなかった。そこで片岡氏は、海外に散在する記録を丹念に収集し、これを基に同作を完成させた。その後も生涯にわたり幾度も改稿を重ね、自身の代表作として育て続けている。
片岡弥吉全集の最終巻(第5巻)に高山右近を取り上げていることは、片岡氏が右近に寄せた特別な思い入れの深さを示すものである。 そのほかに明治、大正、昭和のキリシタンの歴史として忘れてはならない女性「岩永マキ」を取り上げた。