日本では、紛争やトラブルが起きたときの解決手段として、「裁判」が当然のように想定されてきました。
しかし本当に、それが唯一の選択肢なのでしょうか。
本書は、「裁判外紛争解決手法(ADR)」という、国内ではあまり知られていない制度に光を当て、その意味と可能性について解説しています。
ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判に代わる、あるいは裁判と並ぶ紛争解決の方法として位置づけられる手法です。話し合いを通じて、当事者同士が納得のいく解決を目指すことを重視し、「勝ち負け」ではなく双方が納得する“win-winの解決”を目的とします。
特に注目すべき点は、ADRが「心の納得」を重視する解決手法であるということ。
法による解決が物的・形式的な側面に強い一方で、ADRは当事者の感情や背景に寄り添います。これは、家族間トラブル、職場の対立、契約上の紛争など、日常に近い問題ほど大きな力を発揮します。
正義とは何か。
解決とは何をもって“解決”と言えるのか。
ADRを単なる制度として紹介するだけでなく、国民一人ひとりに「裁判以外の選択肢がある」ことを知ってもらうため、強く問題提起する一冊です。