『我思う』を支えているのは、記憶ではないか
近代哲学の出発点とされるデカルトの「我思う、ゆえに我あり」。しかし、「我思う」という意識そのものも、それを記憶する「我」があってこそ成り立つのではないだろうか。
私たちの認識や感情、行動には、常に記憶が深く関わっている。一方で、記憶は変形し、ときには忘却される。それらは私たちの意識や心に、どのような影響を与えているのだろうか。
本書では、デカルトの哲学を一つの出発点として、意識、時間、感情、心、愛、芸術、宗教、死といったテーマを、「記憶」という視点から考察する。仕事やスポーツでの失敗がいつまでも心に残ることや、数多くの人の中からたった一人を強く思う恋愛感情など、身近な経験にも目を向けながら、記憶が人間の感情や行動をどのように動かしているのかを読み解いていく。