ロシアの過酷な歴史に翻弄されながら、安住の地を求めて戦い抜いた名もなき人々の物語。ユダヤ系のタチアナは、15歳の時にロシアでの迫害(ポグロム:ユダヤ人に対する集団的な暴力、殺害、略奪行為)で父を殺され、母イリーナ、弟レオーネと共にペテルブルクへ逃れる。形見の宝石を糧に生き抜く彼女らは、良心的な宝石商ジョシアや三人の老女に助けられ、激動の時代を歩み始める。そして、運命の歯車は次世代のナターリアへと引き継がれる。ソ連軍の脅威が迫る満州で、彼女は白系ロシア人部隊への志願を決意する。それは、自らの家族や「シーモン郷」と名付けた理想郷を守るための、避けては通れない選択であった。ナターリアは兵士として最前線の過酷な任務に身を投じていく。一方で、日本人・柴咲浩一郎もまた、民間外交と武道を通じて満州の地で平和を模索するが、戦争の荒波は彼らを軍需産業へと引きずり込んでいく。満州から神戸、そして再び戦地へ。愛する者との再会を信じ、それぞれの「ファラウェイ(遥かなる理想の大地)」を目指す彼らの姿は、戦争の悲惨さと共に、人間の不撓不屈の精神を描き出す。過酷な運命に抗い、平和を求め続けた人々の壮大な物語である。