私は、認知症を「脳の生活習慣病」と呼んでいます。「生活習慣」を見直せば発症を遅らせることができるのです。脳の老化を遅らせるために何に気をつければいいか。
脳の老化が一番早く始まるのは、前頭葉です。前頭葉は早い人で四〇代から萎縮し始めるのです。認知症においては、側頭葉にあり前頭葉と連携して記憶をつかさどる海馬も萎縮します。前頭葉は、運動、感情、言語、記憶、思考など人が人間らしくあるための、いわばコントロールタワー。脳の老化を遅らせるためには、前頭葉を鍛えることが第一なのです。
そして脳は、人が生きている限り休みなく働いているということを忘れてはいけません。だから、脳がいつも気持ちよく活動できる環境をつくるため、日常的にメンテナンスすることが重要です。クルマのような定期点検でなく、日々の生活の中でメンテナンスを行うのです。本
儒学者の貝原益軒は、「老後一日も楽しまずして、空しく過ごすは惜しむべし。老後の一日、千金に能うべし」と述べています。年を取っていればこそ時間は大切にすべきです。時間はたっぷりあると何もせずに空しく過ごしていると、認知症は向こうから近寄ってきます。残された日々を有意義に過ごすため、私が提唱する「脳メンテ」を習慣として毎日の生活の中に取り入れてください。この一つ一つの取り組みが、あなたから認知症を遠ざけてくれるはずです。