吉川英治「剣難女難」、江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」、菊池寛「受難華」――これらの作品はいかにして多くの読者を魅了したのか。
純文学と並び、かつて幅広く親しまれた大衆文学。その作品は、新聞や雑誌、映画といった大正・昭和期のメディアを介し、大きな盛り上がりをみせました。
本書では、10の作品を取り上げ、その背景や要所をおさえながら、大衆文学とメディアが互いに高め合うさまを描き出します。
また、
「この作家にこんな作品が」
「この作品を書いたのはこの人だったのか」
そんな発見があるのも、本書の大きな魅力です。
作品が掲載された『キング』『新青年』などの雑誌についても、その成り立ちや隆盛を丁寧に紹介しており、当時の読書文化や出版界の熱気が伝わってきます。
著者の影山亮氏は、「桃太郎侍」の作者・山手樹一郎研究の第一人者。その研究により、第7回あらえびす文化賞特別賞を受賞しています。
大衆文学を知っている人にも知らない人にも、ぜひ読んでほしい一冊です。
【主な作家と作品】吉川英治「剣難女難」/林不忘「新版大岡政談(丹下左膳)」/山手樹一郎「夢介千両みやげ」/野村胡堂「銭形平次捕物控」/江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」/横溝正史「真珠郎」/大下宇陀児「蛍」/菊池寛「受難華」/獅子文六「箱根山」