コンタクトセンターの位置付けが、いま、大きく変わろうとしています。従来のコストセンターから、顧客理解を通じて売上と継続利用を生み出す「プロフィットセンター」へ。生成AIの進化がその変化を後押しし、生活者のAIと企業のAIが直接対話する「エージェントtoエージェント(A2A)」の時代も目前に迫っています。
AIコンタクトセンターは、守りと攻めの両面で価値を生みます。守りとは、問い合わせの自動化によるコスト削減と、人手不足の補完。攻めとは、顧客体験の向上によるLTV拡大と、お客様がお客様を呼ぶ推奨意向の醸成です。コストセンターと見られてきたコンタクトセンターは、企業やブランドの一貫した価値提供を支える「攻守の起点」へと生まれ変わります。
そこで目指すべきは、人とAIが優劣を争う姿ではありません。それぞれの強みを生かし、互いの弱点を補い合う「人×AI」の協働です。本書では、この統合された業務循環を「ヒューマンAIループ」と名付け、その中核をなす「AIレディなナレッジ」の考え方、ループを回すための3本柱、乗り越えるべき3つの壁、そしてベンダー選定で問うべき7つのRFP軸で、実装に必要な視点を体系的に解説します。
国内外のリーダー企業は、2030年を目標にAIコンタクトセンターの整備を急いでいます。そこからバックキャスティングすると、遅くとも2028年前半までにはユースケースを立ち上げておく必要がある。準備を始めるのは、いましかありません。
AIコンタクトセンターは、ツールを一つ導入すれば実現するものではありません。業務フロー、データ連携、組織体制、ガバナンスまで、AI前提で丸ごと再設計して初めて機能します。本書は、経営層からセンター現場の関係者まで、コンタクトセンターの変革に関わるすべての方々に、その最初の一歩を踏み出すための実装の指針としてお届けします。