はじめに――21世紀におけるマインドコントロールの技法
第1部 洗脳の登場
第1章 思想改造された男たち
――朝鮮戦争で共産主義を吹き込まれた米兵捕虜
相手の精神に変化を起こす方法
「洗脳」の語源とイメージ
「自分になにが起こっているのかわからない」
「忘れられた戦争」で捕虜となった若者たち
デジタル社会と戦場は人々を同じ状況に導く
味方に攻撃された米兵捕虜
洗脳の前段階は収容所の生活にあった
苦痛を覚えた細かい記憶から洗脳は染み込んでいく
第2章 収容所の洗脳プロセス
――祖国にそむいた「裏切り者」たちの終わらない戦争
待遇を改善された捕虜たち
収容所という名の実験室
長く恐ろしいプロセス1、白紙にする
長く恐ろしいプロセス2、批判
長く恐ろしいプロセス3、型にはめ直し続ける
捕虜たちのオリンピック
帰国を拒んだ21人の米兵捕虜
残った捕虜のその後
洗脳の後遺症
第3章 洗脳を研究し始めた科学者たち
――トラウマという時限装置
21世紀はトラウマの世紀である
「魔術」ではなく「科学」として調査する
帰国した捕虜たち
捕虜たち全員がトラウマに苦しんでいた
精神を崩壊させるテクニック「DDD」
共産党の「思想改造」
抵抗する気力を奪うのは暴力ではなかった
再教育の完成
第4章 暴力とPTSD
――精神を破壊するサバイバル訓練、CIAの極秘計画、公開実験
心をくじく訓練
「拷問」と「尋問」で心に負った傷
訓練を本物の拷問に応用する
催眠術のスペシャリスト、ウェスト博士
CIAの闇「MKウルトラ計画」
許可された「人間に対する実験」
秘密実験に資金提供したCIA
睡眠剥奪の公開実験
洗脳の「予防接種」
タフな訓練として定着したSERE
第2部 洗脳の拡大
第5章 手術や電流で脳をコントロールする方法
――レナード・キリーの悲劇
脳を破壊された男
レナード・キリーの暴力的な怒りの発作
ロボトミー手術ふたたび
暴力行為の原因は脳にある?
脳の実験は「てんかん治療」にされた
そして扁桃体が焼かれた
洗脳実験室とヒッピーたち
チャールズ・マンソンとCIAの関係
人の行動をコントロールする脳の部位を特定する
正常な脳を破壊する手術
医学の発展と切り離せない実験の実態
暴力行為を抑えるための暴力的治療
脳を破壊する実験をおこなっても無罪となった医師たち
第6章 カルト集団の洗脳
――マンソン・ファミリーと神の子供たち
若者を惹きつけた60年代のカルト集団
洗脳には「力を与える」作用がある
神秘のベールをはがされたカルト集団
ベトナム戦争の「トラウマ」の発見
カルトは勧誘時点で自由意思を奪う
カルト団体で二つに引き裂かれた自己
ミルグラムの実験に見る「偽りの自己」
第7章 被害者か加害者か問題
――パトリシア・ハースト誘拐事件
誘拐された富豪令嬢
洗脳された者は進んで犯行におよぶのか?
洗脳の真偽
戦争捕虜と富豪令嬢の共通点
拷問されていることに気づかない被害者たち
洗脳はIQも下げる
生き延びるための選択を裁かれるとき
第8章 脱洗脳プログラムの闘い
――カルト二世の苦悩、人民寺院の集団自殺、統一教会の巧みな勧誘
閉鎖空間で生まれた宗教二世たち
カルトと闘う専門家たちの受難
「脱洗脳プログラム」の誕生
脱洗脳の難しさと家族の苦しみ
カルト擁護派とアンチカルト派の闘い
バス停で統一教会に勧誘された大学生
立証できなかった「洗脳」
非科学とされた「洗脳」
第3部 21世紀の洗脳
第9章 感情操作ビジネス
――画面をタッチするだけで情報を盗まれ、感情を操作される
感情を科学する
フェイスブックでおこなわれた感情伝染の実験
他者の感情に「入り込む」
感情のバタフライ・エフェクト
オンライン・セラピーの広がり
使う単語からパーソナリティを逆算できるか?
密かに感情操作ビジネスは続いている
入ってくる情報を選択できない社会
第10章 大衆を動かすテクノロジー
――ラジオ番組、ネガティブなニュース、AIフレンド
大衆を説得する仕組み
私たちは自分の意志ではなくスクロールしている
「顔のない大衆」の誕生
日常に入り込んだ大衆を説得する方法
AIと友情や恋愛関係を結ぶ人たち
訓練されたAIとの会話
ラジオがつくる世論
現代の洗脳の形
第11章 みずから仮想通貨に洗脳される人たち
――不平等から生じる新しいカルト
仮想通貨にハマる人の共通点
「カーゴ・カルト」とは?
富の不均衡がもたらした信仰としての暗号資産
金融占星術師の登場
価格の上下する暗号資産を保持する心の支えとは?
暗号資産を信仰する新しいカルト
不平等な社会を生き抜く希望
おわりに