20世紀、世界は標準化された――
ロンドンの天文台が司る、巨大システム
いま、この本を手に取ってくれたあなたは、地球上のどこにいるのか。それが地球上のどこであれ、正確に「ここ」と示すことができる便利な指標がある。「緯度」と「経度」である。
経度と緯度を調べれば地球上の座標が定まり、時計を見れば、今が何時かすぐわかる。経度差から外国の時間も計算できる。便利だが、あまりに当たり前で、もはや意識すらされないこの時間と空間の指標が、世界で統一されたのは、19世紀末から20世紀中頃のことであった。同時に、イギリスのグリニッジ天文台という施設を基準とした世界中を覆うこの巨大なシステムが、各地域で各民族に流れていた時空の感覚を塗り替えてきた。いつ、どうして、時計と地図は標準化されたのか。その歴史に迫る。